“特別恩赦”を得られず仮釈放のサムスン副会長、「国民のため積極投資と雇用創出を」と期待の声

2021年08月11日 社会 #サムスン

国政壟断事件で収監されていたサムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)副会長が、8月13日に仮釈放されると発表された。

今回の仮釈放を受け韓国では、サムスンに大規模投資誘致への期待が高まっている。経営の舵取りを巡って意見が分かれているものの、サムスンとしてはトップ不在という最悪の状況から脱するだけに、大規模の投資や中長期戦略の樹立が可能になる見通しだ。

先立ってイ副会長は今年1月、国政壟断事件破棄の差し戻し審で、懲役2年6カ月の実刑を言い渡されており、法廷拘束から約7カ月ぶりに仮釈放で出所する。

【全文】実刑宣告されたサムスン副会長の“獄中”メッセージ

今回の仮釈放についてサムスン側は、「特に申し上げる言葉はない」と言葉を控えたが、内部では安堵の空気が漂っているはずだ。

大規模投資が予測されるサムスン

イ・ジェヨン副会長

サムスンが公式的な立場を明らかに“しない”のは、イ副会長が当初期待していた特別恩赦が得られず、仮釈放という判断が下されたため、経営参加の基準が曖昧になったためだ。

今回の仮釈放は、刑期満了前の条件付き釈放だ。法務部(日本の法務省)の保護観察が義務となり、就業および海外出張などが制限される。これは仮釈放後もイ副会長の経営活動に制約が生じかねないという意味だ。また全国民主労働組合総連盟などの韓国市民団体や、与党の一部から出ている批判的な世論も考慮したものと見られている。

しかしイ副会長の仮釈放を受け、サムスンが大規模な投資に乗り出すという見方が大勢を占めている。

トップ不在が解消され、M&Aや大規模投資などの意思決定が早まる可能性も高い。イ副会長とサムスンの立場としても、“経済回復”という政府と国民の期待に積極的に取り組む姿を見せる必要がある。

ロッテグループのシン・ドンビン(辛東彬)会長も2018年、同様の容疑で拘束され、控訴審で執行猶予判決を受けたあと、流通と化学部門で大規模な投資計画を発表していた。

そのため今回のサムスンに関しても、イ副会長が指示し、韓国内外への投資に拍車がかかるものと見られている。

「国民の要求に応え、積極的な投資と雇用創出を」

特にアメリカへの投資が早まるという観測が多いようだ。世界的に半導体を巡る投資競争が激しくなっている中、サムスンはトップの不在を受け、最終的な投資決定が引き続き見合わされてきた。

イ・ジェヨン副会長

サムスンは去る5月の韓米首脳会談当時、170億ドル(約1兆7000億円)規模のアメリカ半導体工場への投資計画を発表したが、まだ敷地さえ決まっていない状況だという。

一方ライバル企業のTSMC(台湾)、インテル(アメリカ)などは、米アリゾナ州の半導体工場増設などに向け、数100億ドルの投資誘致計画を発表するなど、攻撃的な動きを見せているため、気が抜けない状況だ。

そして2016年以降、静かだったM&Aも推進される見通しだ。サムスンは7月29日のカンファレンスコールで、「3年以内に意味あるM&Aを進める計画」とし、可能性を示唆していた。

このほかにも、サムスングループの大手電機メーカー「サムスンSDI」の米バッテリー工場新設、製薬企業「サムスン・バイオロジクス」の新型コロナワクチン生産などと関連した件でも、イ副会長が非常に大きな役割を果たすものと期待されている。

各経済団体も同様に、イ副会長の積極的な経営行動を支持しているという。全国経済人連合会、韓国経営者総協会などは8月9日、イ副会長の仮釈放の歓迎論評を出し、「サムスンは経済危機克服に関する国民的要求に応え、投資と雇用創出に積極的に乗り出さなければならない。ただ、イ副会長が経営活動に専念できるよう、最大限の行政的配慮も必要だ」と述べた。

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