日本も他人ごとじゃない?超高齢社会・韓国が抱える課題 “高齢者スポーツ”活性化に向けた提言

2025年04月13日 社会

韓国では65歳以上の人口がすでに全体の20%を超え、2025年には「超高齢社会」に本格的に突入すると見られている。

こうしたなか、韓国の高齢者スポーツ専門団体「大韓高齢者体育団体連合会」は、「高齢者スポーツの活性化」に関する政策提案を発表し、注目を集めている。

同提案によれば、高齢者スポーツは身体機能の維持だけでなく、心理的・社会的健康の促進、慢性疾患の予防にも有効であり、国家レベルでの制度化が求められている。

2025年1月時点の推計では、韓国の総人口約5100万人のうち、高齢者(65歳以上)は約1030万人。これは2017年に「高齢社会」へ突入してから、わずか8年で「超高齢社会」に達したことを意味する。

このような動きは、日本にとっても決して他人ごとではない。

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スポーツを楽しむ高齢者
(写真提供=華川郡庁)イメージ

本はすでに世界屈指の高齢化大国であり、65歳以上の人口は3625万人、総人口に占める割合は29.3%に達している(2024年9月時点、総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者―『敬老の日』にちなんで」より)。これは過去最高の水準であり、今後も上昇が見込まれている。韓国と同様、日本でも高齢者の健康支援や社会参加をどう促すかが、今後を左右する大きな課題となっている。

高齢者向けの余暇・運動拠点

韓国における65~79歳の「新しい高齢者層」は約780万人。そのうち、スポーツ活動に積極的に参加しているのは約308万人で、全体の39%にあたる。高齢者が老人会などに参加しない背景には、「健康・余暇に対するニーズに応えられていない」「プログラムの内容が物足りない」といった理由があるという。

定期的な運動習慣は、生理機能の低下防止、ストレス軽減、高血圧や糖尿病の予防・改善など、老化防止にとって重要な手段であることは、韓国でも日本でも共通して認識されつつある。

そんな韓国には現在、以下のような高齢者向けの余暇・運動拠点が存在する。

敬老堂(65歳以上対象):全国で約6万8800カ所

老人福祉館(60歳以上対象):全国に438カ所

高齢者教室(60歳以上対象):全国に1225カ所

また、大韓高齢者体育団体連合会の提案では、既存のスポーツに参加しづらい人や、リハビリ・予防が必要な高齢者にも対応できる、オーダーメイド型の高齢者運動プログラムの導入が求められている。

競技種目は以下のように分類されている。

一般型:サッカー、バドミントン、卓球など

交流型・高齢者親和型:スローン(軽運動)、ヨガ、パークゴルフ、ゲートボールなど

文化型:囲碁、将棋、合唱、リベラルアーツ講座など

これらを「生活体力の向上」「慢性疾患の予防」「リハビリ支援」の3目的で体系化し、政策として位置づけるべきだと提言している。

「文化」から「福祉」へ

これまで韓国ではスポーツ行政を文化体育観光部が主に担ってきたが、超高齢社会への移行に伴い、「福祉政策」としての位置づけが強まりつつある。

運動が健康維持のみならず、疾病予防・医療費削減にもつながるという認識が広まり、保健福祉部もスポーツ事業に本格的に関与するようになってきた。

この結果、二つの省庁の間で視点・主導権・予算・人員配置などをめぐる軋轢も一部で生じているとされるが、真に求められるのは高齢者の健康と生活の質(QOL)を守るための省庁間連携だ。

今後、スポーツを介した健康増進・社会参加は、国家競争力そのものに直結するテーマとなる。韓国でも、日本でも、高齢者スポーツを推進する常設機関の設置や法整備の必要性が、政策課題として改めて注目されている。

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