日本で社会問題となっている“高齢者の運転”だが、韓国でも同様に深刻な状況となっている。
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韓国警察と消防当局によると、7月1日21時27分頃、ソウル市庁近くのホテルから突然車両が飛び出し、一方通行の幹線道路を逆走行し始めた。
その後、停車していた車両に続々と追突しただけでなく、歩道に突進して歩行者を襲った。この事故により6人が亡くなり、3人は心配停止状態で病院に搬送されたあとに死亡判定を受けた。負傷者は4人(重傷1人、軽傷3人)で、死者は30代男性4人、40代男性1人、50代男性4人の計9人だ。
警察は加害車両を運転していた男性A氏(68)を現場で逮捕。A氏は痛みを訴えたため、同乗していた60代女性とともに病院に運ばれた。飲酒運転の疑いはなく、薬物や居眠り運転は現時点では確認されておらず、車両の急発進を主張したという。
韓国統計庁によると、2023年の65歳以上の高齢者は韓国総人口の18.4%で、2025年には20.6%となり超高齢化社会に突入すると予測されている。また、2022年の資料によると直近10年間、全体の免許所持者は年平均2.5%程増加している一方で、65歳以上の高齢運転者は平均11.2%増加していることが分かっている。
そのため、高齢運転者の交通事故発生件数は着実に増えている状況だ。道路交通公団によると、65歳以上の高齢運転者の交通事故は、2023年に比べて4962件(14.3%)増加した3万9614件と集計された。全体の交通事故に占める割合も20%で、昨年の17.6%)よりも増えている。
喫緊の課題となった高齢運転者問題について、韓国政府は様々な対策を講じている。2013年8月から高齢運転者を対象に認知検査などの無料交通安全教育を実施し、2019年からは75歳以上の運転者が免許を取得/更新する場合、交通安全教育2時間を義務付けた。
年齢を重ねるほど認知能力が落ちるという点を考慮し、教育内容に認知能力自己診断などを含め、適性検査周期を3年に短縮したのだ。
また、運転能力が低下した高危険群の運転者を対象に、夜間の運転禁止、高速道路の運転禁止、速度制限などの条件付きで免許を許容する“条件付き免許制”の導入も検討しているが、社会的合意が必要な事案であるだけに、十分に世論を集約するという方針だ。
そして各自治体は、免許を返納する高齢者に10~30万ウォン(約1万1000円~3万5000円)相当の現金によるインセンティブを支援し、自主返納を誘導している。65歳以上の高齢運転者を対象にしているが、免許返納は毎年2%前後にとどまっているのが現状だ。
なお、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は今回の事故に関して、被害者の救助と治療に全力を尽くすようにと指示。尹大統領は事故の報告を受けたあと、行政安全部長官と消防庁長に「被害者の救助および治療に総力を尽くすこと」を緊急指示したと、キム・スギョン報道官が書面ブリーフィングを通じて伝えた。
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