もう“ダンスチャレンジ”は見られない?TikTokとユニバーサルの交渉決裂で、K-POP界に暗雲漂うワケ

2024年03月04日 話題

世界3大音楽レーベルである「ユニバーサル」と、全世界10億人以上のユーザーを持つ「TikTok」。この2つの巨大な会社の交渉が決裂したことで、K-POPが最大の被害者となっている。

【画像】K-POP界の新たなルールとなった“ダンスチャレンジ”

ユニバーサル・ミュージック・グループと中国動画共有プラットフォームTikTokのライセンス交渉が決裂し、2月1日0時を基点に既存のTikTok映像から有名アーティストの音源が順次削除されている。

2月末からはK-POP市場にも、その余波が広がっている。

グクやNewJeans、BLACKPINKの曲も…

一例として2月月27日頃からBTS・JUNG KOOKの『Seven』と『Standing Next to You』の音源がTikTokでサービスされていない。

JUNG KOOK
(写真提供=BIGHITS MUSIC)JUNG KOOK

BLACKPINKのTikTok公式アカウントでも『Pink Venom』と『KILL THIS LOVE』をはじめ、メンバーのソロ曲が削除された。

様々なチャレンジで人気を集めたNewJeansの『OMG』、LE SSERAFIMの『Eve, Psyche & The Bluebeard's wife』なども消えた。それらの音楽が含まれた映像は「著作権問題で音響除去」の字句が表示され、黙音処理された。

先立ってTikTokとユニバーサル・ミュージック・グループは2021年2月、グローバルライセンス契約を結んだ。これを受けてTikTokの利用者らは、ユニバーサル所属歌手やユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ(UMPG)の作曲家らの音楽を使って動画を制作してきた。

ユニバーサル側はTikTokなどオンラインプラットフォームで曲が使われると、使用料を受け取って収益を上げた。

しかしユニバーサル側は「TikTokから得る収益は、全体収益の1%に過ぎない」とし、「10億人以上のユーザーを保有しているTikTokが成長しただけに、正当な代価を払ってほしい」と主張した。

そしてユニバーサルは「TikTokは音楽に対する公正な価値を支払わずに音楽基盤ビジネスを構築しようとしている」とし、ロイヤリティの引き上げを要求した。またTikTok側がAI創作やディープフェイク問題の解決に積極的ではない点についても指摘した。

NewJeans
(写真提供=ADOR)NewJeans

最終的に、双方は合意点を見出せないまま契約が終了。その後、TikTokは2月1日からユニバーサルと契約したアーティストの音楽や、ユニバーサルが流通する音楽の提供を順次中断した。2月27日からは、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループと契約した作家たちの音楽に対しても措置を取った。

サービスが中断されたJUNG KOOKの『Seven』や『Standing Next to You』、NewJeansの『OMG』などは、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ所属プロデューサーが参加した曲だ。BLACKPINKはユニバーサル・ミュージック傘下のレーベルであるインタースコープ・レコードと契約した状態であり、その影響を受けたものと推定される。

ユニバーサル・ミュージック傘下のリパブリック・レコードとパートナーシップを結んだStray Kids、TWICEなどの音源は、今のところTikTokで正常に使われている。ただし、それらの音源もやはり、順次的にサービスを中断する可能性を排除できない。

海外進出の“窓口”が失われ

ショート映像プラットフォームであるTikTokは、北米やヨーロッパなど、全世界の若者世代に映像を通じた一種のミーム(インターネット流行コンテンツ)として消費され、大きな人気を集めている。

そのためK-POP市場では、アルバム発売と同時に自分の歌に合わせてダンスを踊る「TikTokチャレンジ」が代表的な新曲の広報手段となって久しい。

TWICE
(写真提供=JYPエンターテインメント)TWICE

しかしユニバーサルはBTS、BLACKPINKなど大多数の主要K-POPアーティストの音楽を流通しているため、K-POP界の憂いが深まっている。

とあるK-POP企画会社の関係者は、「私たちも混乱しているのは同じだ。ユニバーサル・ミュージックの系列会社を通じて流通する歌手が多いが、どの基準で音源が中断されるのかわからない」とし、「TikTokはK-POPの多様なチャレンジが行われるプラットフォームだが、今後は制約が多くならざるをえないものと見られる」と話した。

一部ではTikTokチャレンジの流行に力づけられ、K-POPグループとしてデビュー最短期間で米ビルボード「HOT100」にチャートインしたFIFTY FIFTYのような事例が、今後はさらに出づらくなるという声も出ている。

FIFTY FIFTY
(写真提供=ATTRAKT)FIFTY FIFTY

また別の中小K-POP企画会社の関係者は、「YouTubeリール(ショート動画)やTikTokなどのオンライン動画プラットフォームは、巨大な資本のない中小アイドルには重要な海外進出のための広報手段であり、海外ファンとの窓口でもある」とし、「メジャーな海外流通会社と契約を結ぶことが難しいなかで、今回のような制限まで生じて困っている状況」と吐露した。

ユニバーサルとTikTokの交渉決裂で、悪影響を受けるK-POPアーティストは今後も増えてしまいそうだ。

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