『オクニョ』『チャングム』生みの親イ・ビョンフン監督が語る①「愛される時代劇の秘訣は…」

2019年12月10日 話題 #韓流時代劇

韓国時代劇『宮廷女官チャングムの誓い』を大ヒットさせ、『ホジュン 宮廷医官への道』、『イ・サン』『トンイ』『商道』『馬医』『オクニョ 運命の女』などを手がけながら“時代劇の巨匠”となったイ・ビョンフン監督(75)。

1970年に韓国MBCに入社し、約40年にわたってテレビドラマを演出してきたイ監督の時代劇が、“ドラマ韓流”の中心に立てた理由は何か。

12月9日にソウル東大門デザインプラザ(DDP)で開催された『FNSプリビュー2019』で会ったイ監督は、「時代劇らしくない時代劇」と答えた。

イ・ビョンフン監督はなぜ「韓国時代劇の傑作」を次々に制作できるのか?

1990年代に爆発的な人気を集めた『朝鮮王朝500年』をはじめ、当時60%超の視聴率を記録した『ホジュン 宮廷医官への道』、50%の視聴率で韓流の火付け役となった『宮廷女官チャングムの誓い』、視聴率20~30%の『イ・サン』『トンイ』『馬医』まで。

イ監督の作品は、韓国時代劇の地平を広げてきたと言っても過言ではない。

イ監督は、韓国の時代劇が海外からも注目を集めた理由として、ハリウッドスタイルのストーリー構図を挙げた。

「ハリウッド作品では危機と葛藤、どんでん返し、痛快さなど、勧善懲悪の要素が目立つが、その影響が大きい。そこが日本、中国ドラマとの差別化だ」

主に50話以上の大河ドラマを演出してきたことについては、「ミニシリーズ(約16話)のスタイルと構成でスピーディーな展開を意識した。全体のストーリーラインを作っておいて、それを肉付けしていく感じで物語を紡いでいく。このようなスピーディーな展開が、我々と価値観の異なる海外の人に楽しみを与え、共感を得られた秘訣ではなかっただろうか」と話した。

イ監督が時代劇に与えた影響は相当なものである。

時代考証を中心とした堅苦しい感じの大河ドラマに想像力をプラスしたフュージョン時代劇は、大河ドラマの大衆化に貢献したという評価を得ている。

「役者たちには、昔の時代劇にとらわれず行動やセリフを現代劇のようにやってほしいと頼む。セリフの量も多いし、展開も早いので時代劇らしくない時代劇だった」

イ・ビョンフン監督

ストーリーだけでなく、衣装やOSTなどのディテールにも気を配ったという。

「普通、時代劇の衣装といえば黒、灰色、白くらいしかなかったが、『ホジュン』『チャングム』のときは20色以上の衣装を作った。古臭い昔の話というより、現代劇のように明るく、派手にしようとした。『ホジュン』では初めてピアノ曲をBGMに使った。音楽専門家を起用してニューエージ風の音楽を挿入した」

朝鮮王朝第22代王・正祖の話を描いた『イ・サン』を除く『宮廷女官チャングムの誓い』『トンイ』『商道』『オクニョ 運命の女』などでは、歴史の縁に存在した人物を取り上げ、想像力を足して物語を作り上げた。そういった方法が“ドラマ韓流”にも多大なる影響を与えたとイ監督は語る。

「僕の時代劇には、必ず専門職が登場する。医者や薬剤師、獣医、料理家など。全世界で共通する職業であり、人々が興味を持ちそうな特殊な職業を取り上げ、それを成長していく女性主人公を通じて具現化した。登場人物は我々の周りでよくいるキャラクターだが、それなりに能力とセンスがあるので、物語において一定の役割をするようにした」(②につづく)

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