「演技に関しては、ひたすら抑えるように言われた。『ダークタワー』の撮影時、危機的な状況のシーンで大きく声を上げようとしたのだけど、ひたすら力を抜いて、控えめにという要求があった。鋭敏な感情を撮影するときはすごくソフトに演技する。そういったところが韓国とは違うようだ。」
――演技以外ではどのような違いがあったのか気になる。
「ご飯が違った(笑)。ケータリングがとてもよくできている。俳優2人ごとにトラックがあるのだけど、してほしいことは全部やってくれる。ある日はキムチを持ってきて、料理を作ってくれた。スムージーや健康的なスナックもたくさんあった。
セットもとてもよくできている。『アベンジャーズ』の撮影当時もウルトロンの模型を使った。今回の『ファンタビ2』もロンドンにセットがあったけど、1920年代が背景だったのでヴィンテージな小物が多かった。
ある時、監督が絶対に美しい空を撮りたいと言った。エフェクトで作ることもできたけど、カラー感が落ちるからといって、理想通りの空模様の時にだけ撮影した。毎日1時間だけ撮影して、3週間ほどかかった。そんな感じで、ディテールに妥協しない。
そして、些細なことかもしれないけど、撮影期間中は家を出た瞬間から撮影が終わって帰るまで、すべての行動に責任を持ってくれるシステムだ。食事や運転もそうだし、お小遣いも出る。ひたすら演技にのみ集中させる」
――映画『search/サーチ』や『クレイジー・リッチ!』が注目されるなど、ハリウッドでのアジア人俳優の立ち位置が少しずつ変わっている。
「それらの作品は世間に新しいプラットフォームを作ってくれる重要な映画だ。
かつてのオーディションでは、アジア人の役と名前はそのままなのに、結果的に白人俳優が選ばれることもあった。アジアの役者が作品に1人だけ選ばれるということを知って「やはり」という話もしたが、今回演じたナギニ役に対しての議論もそうだし、重要なムーブメントだと思う。
今回の映画は『ハリー・ポッター』の従来のファンも多く、『アベンジャーズ』とはまた別の大きなシリーズ作品ということもあって、いつにも増してサポートしてくれていることを感じた。韓国の女優という枠を越えて、アジアの女優として胸がいっぱいで、ありがたい」
――いま、スヒョンがどの国に住んでいるのか気になる人もいるようだが。