HYBEが毎年「Weverse Con Festival」を開催する理由…パン・シヒョク議長の3つの公演哲学

2023年07月05日 K-POP

どんなイベント会場でも目にするブース前に並ぶ観客の列がない。

【注目】「BTSの再契約については…」HYBEパン・シヒョク議長

コンサート会場に入場すると、デビュー2年目の新人グループLE SSERAFIM(ルセラフィム)と31年目の貫禄の歌手オム・ジョンファがひとつの舞台に上がる珍しい風景が繰り広げられる。

続いて韓国国内はもちろん、海外でも事例を見つけることが難しい音声デザイン技術で男性アーティストが歌う歌を女性歌手の声で聞かせる、異色の経験がプレゼントされた。

韓国最大手の芸能事務所HYBEが去る6月に主催した「Weverse Con Festival」は、特定のアーティストがファンを相手に繰り広げるコンサートとはまったく異なる形式で進行された。

(写真提供=HYBE)

K-POPが世界的な注目を集めているなか、韓国エンターテインメント産業の代表走者であるHYBEは、なぜこんなフェスティバルを企画したのだろうか。グローバルなヒット商品であるK-POPの未来と、Weverse Con Festivalはどのような相関関係があるだろうか。

HYBEが見る夢

7月5日、HYBEによると、Weverse Con Festival を通じてHYBEが見る夢は、大きく「統合」「高品質」「新技術」の3つに要約される。

まずWeverse Con Festivalには、「統合の場が必要だ」というHYBEパン・シヒョク議長の所信が反映された。特に今年からはHYBEのアーティストだけでなく、Weverseに入った他のエンターテインメント会社所属のアーティストたちも一緒にステージに上がり、統合の意味がさらに加わった。

14年ぶりに合同コンサートの舞台に立ったキム・ジュンス、米シンガーソングライターのジェレミー・ザッカー、日本を皮切りに世界へ活動を展開しているバンドMOON CHILD などが、所属事務所や地域、年齢、ジャンルの境界を越えてひとつの舞台に立った。

3年目となった故シン・ヘチョルさん、ソ・テジなど伝説のミュージシャンを称える献呈ステージを重要視するのも、K-POPの過去と現在を統合するという意味が込められている。

パン議長は献呈ステージについて、「大衆音楽の歴史的な事実に対する尊重が必要であり、その事実を記念して献呈できる空間も必要だ。Weverse Con Festivalは、そんな時代的意味を生かしていく舞台にならなければならない」と説明したことがある。実際に今年の献呈ステージの主人公だったオム・ジョンファは、Weverse Con Festivalについて「記憶したい舞台…とても幸せで感動した」と感想を述べた。

(写真提供=HYBE)

Weverse Con Festivalには、「より高品質の公演を直接作ってみよう」という意図も反映された。

K-POPとKダンスは全世界の人々に浸透したが、高品質の公演サービスはまた別の領域だ。ステージに惜しみなく投資してこそ可能だからだ。実際に今回のWeverse Con Festival の舞台に設置されたLEDパネルは、通常の単独コンサートに比べて4倍を超える量が投入され、8つの超大型画面が提供されたことで、アーティストたちの汗まで生々しく映し出しながら現場の没入感を高めた。

ステージの一部を持ち上げたり移動・回転させたりするトロリー、ローテート、リフトなどの多様な設備も動員され、ダイナミックに変わる舞台を演出した。HYBEの関係者は「2日間で20チーム、84曲を舞台に上げるためには高度な演出力と技術力が必要だ。アーティストなら誰でも立ちたいステージにしてこそ、全世界の観客の誰もが見たがる舞台になる」と説明した。公演の質を引き上げ、K-POPとKダンスだけでなく、“Kコンサート”自体をヒット商品にするという意思だ。

(写真提供=HYBE)

3つ目の理由は、芸術と新技術の融合だ。

HYBEはQRコードを融合させた現場オーダーメイド型サービスで、フェスティバル現場の随所に設置されたイベントブース前の列をなくした。Weverseアプリ内の「並び」サービスを通じて、ブース訪問を予約すれば順番が来たときにアラームで知らせてくれる。

また「Weverse by Fans」のメニューに入れば、自分が望むイメージとデザインを活用して公式商品をカスタマイズできる。大量生産された公式商品ではなく、個人オーダーメイドの商品制作が可能となったのだ。

他にも、コンサートをオンラインでリアルタイム生中継して全世界のファンが観覧できるようにし、フェスティバルの雰囲気を満喫できるよう大型野外スクリーンを設置するなど多彩な方式の観覧も可能となった。公演場の内外で繰り広げられる、これらサービスは「目の前の不便を解消することこそ革新」というパン・シヒョク議長の哲学が公演現場に投影された結果だ。

(写真提供=HYBE)

究極的にHYBEは、Weverse Con Festivalが持続成長可能なエンターテインメントの生態系を造成する出発点になることを望んでいる。パン議長はWeverse Con Festival について、「大衆芸術を基盤とするすべての新技術と芸術的な方法論をすべて見せられる場になることを願う」と話した。

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