青木崇高起用の『犯罪都市3』、前作からの変化はマイナス…?一方でシリーズの“芯”は健在

2023年05月28日 映画 #韓国映画

2022年、コロナ禍にもかかわらず、韓国で1269万人を動員した『犯罪都市 THE ROUND UP』。その続編となる『犯罪都市3』が、再び大ヒットするのかに注目が集まっている。

【画像】マ・ドンソクとBTSメンバーの意外な親交「弟よ」

来る5月31日に韓国公開を迎える『犯罪都市3』は、前作の7年後が舞台となる。

主人公の“怪物刑事”マ・ソクト(演者マ・ドンソク)は、これまで席を置いていた衿川(クムチョン)署強力班からソウル広域捜査隊に異動となるのだが、依然として独身で、不義を見ると真っ先に拳が出てしまう性格は変わらない。言葉が通じない被疑者たちと、“真実の部屋”で対話(?)する習慣もそのままだ。

今回は、ソウルを襲う新型麻薬を追うマ・ソクト。衿川署の刑事や、おなじみのチャン・イス(演者パク・ジファン)や情報屋のガソリン(演者ユン・ビョンヒ)の代わりに、チョロンイ(演者コ・ギュピル)とキム・ヤンホ(演者チョン・ソクホ)が笑い部分を担当している。

期待値の高い『犯罪都市3』だが、再び1000万人を超えられるのだろうか。公開を間近に控えている本作について、本紙『スポーツソウル』が強みと弱点を探ってみた。

サブキャラたちにも変化が

マ・ソクトが広域捜査隊に移ったことで、前作まで活躍した衿川署のチョン・イルマン班長(演者チェ・グィファ)、オ・ドンギュン刑事(演者ホ・ドンウォン)、カン・ホンソク刑事(演者ハジュン)たちとは別れてしまう。

その代わりに、広域捜査隊のチャン・テスチーム長(演者イ・ボムス)、マ・ソクトの右腕となるキム・マンジェ刑事(演者キム・ミンジェ役)、ヤン・ジョンス刑事(演者イ・ジフン)といった面々がその役割を担うこととなる。

慣れ親しんだユーモアは、時には食傷とマンネリとなる。だが、新顔と協力してユーモアの息を合わせる過程には時間が必要だ。衿川署の刑事たちがマ・ソクトを後押しし、共に事件を解決していくパターンとは異なり、『犯罪都市3』で見せる広域捜査隊メンバーの役割は微々たるものだ。

チャン・テスチーム長は意欲にあふれているが、結果的にマ・ソクトがキム・マンジェと2人だけで事件を捜査する口実を提供する。他の刑事たちも一次元的なキャラクターとして大きな活躍を見せることができず、物足りなさを残す。

そしてコミカルなキャラクターが好評だったチャン・イスとガソリンの代わりは、キム・ヤンホ(演者チョン・ソクホ)とチョロンが担当しているが、笑いの強度は弱まったといえる。

だがこの変更は、特徴的なビジュアルで人気サブキャラとなったチャン・イスの不在が大きく感じられる結果に。Gucciの“ピチピチ”ミッキーマウスTシャツが特徴のチョロンでは、チャン・イスの穴埋めは難しそうだ。

(画像提供=ABOエンターテインメント、PLUS Mエンターテインメント)新キャラのチョロン(左)

青木崇高×イ・ジュニョクのWヴィランだが…

本シリーズの大きな見どころの一つといえば、個性豊かな悪役だろう。今や『犯罪都市』は、マ・ソクトよりも悪役が成功のカギと言っても過言ではない。

1作目の朝鮮族黒竜組の残忍なボス、チャン・チェン(演者ユン・ゲサン)、2作目のサイコパス殺人鬼カン・ヘサン(演者ソン・ソック)の続く今作は、シリーズ初の“Wヴィラン”となる。

(画像提供=ABOエンターテインメント、PLUS Mエンターテインメント)青木崇高 as リキ

美しいビジュアルの悪が予想だにしない残酷さを見せた時、観客は戸惑いを感じる。だがそんなヴィランを圧倒するマ・ソクトの痛快な一発が、観客にカタルシスを抱かせる。

今回の顔は日韓から選出された。

まず、イ・ジュニョクは知性とビジュアルを兼ね備えたチュ・ソンチョルを演じ、青木崇高が日本ヤクザの殺し屋リキに扮する。『犯罪都市3』のために筋肉で20kgもバルクアップしたというイ・ジュニョクは、ドラマ『秘密の森』のソ・ドンジェ役で拡張した卑劣さを見せてくれるはずだ。

(画像提供=ABOエンターテインメント、PLUS Mエンターテインメント)イ・ジュニョク as チュ・ソンチョル

一方、ワイルドな外見の青木崇高は、邪魔なものを全て刀で切り裂き、行く先々で血を撒くなどの残忍な姿を披露する。

シリーズ初の試みだが、デメリットもある。2人に分散したことから、各々の存在感と破壊力が低くなったという点だ。そのため、チュ・ソンチョルの知能的な犯罪、リキの無慈悲さが物足りなく感じられる。

ただ一つ変わらないもの、それは“拳” 

だが、シリーズの“芯”とも言えるマ・ソクトの拳は健在だ。いや、むしろより強くなったと言える。

「悪い奴は皆捕まえなければならない」「警察は民衆の棒だ」「真実の部屋を掃除しよう」「それは私がやるよ」などのユーモアたっぷりな“マ・ソクト語録”も相変わらずだ。

悪い奴らと対話するために「真実の部屋」を掃除し、「民衆の杖」より「棒」として機能する。他の部署に仕事を渡すより、率先して首を突っ込んでいく姿は1、2のマ・ソクトそのままだ。

(画像提供=ABOエンターテインメント、PLUS Mエンターテインメント)マ・ソクト as マ・ドンソク
(画像提供=ABOエンターテインメント、PLUS Mエンターテインメント)マ・ソクト as マ・ドンソク

プロボクサーの夢を諦めなければならなかったマ・ドンソクの夢は、『犯罪都市』のマ・ソクトを通じて具現化されている。変化を追求する『犯罪都市』で変わらないものがあるとするならば、それは断然、マ・ソクトの“ジャスティス・パワー”だと言えよう。

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