K-POP第4世代のガールズグループ市場をリードするIVE(アイヴ)、LE SSERAFIM(ルセラフィム)、aespa(エスパ)には共通点がある。
まさに彼女たちだけのしっかりとした世界観を構築しているという点だ。そして、その世界観はファンの心を刺激し、各グループに深く深くハマらせている。
4月に初のフルアルバム『I've IVE』を発表したIVEは、“自己愛”のアイコンだ。デビューから現在まで発表した3枚のシングル『ELEVEN』『LOVE DIVE』『After LIKE』の歌詞とパフォーマンスには、あふれるナルシシズムが盛り込まれた。
デビュー曲『ELEVEN』には、水に映った自分の姿に惚れる「透明なふたりの間合い/覗き込んでみた/吸い込まれる波浪/落ちていくの」という歌詞が出てくる。文章だけで読むと恥ずかしくなるような歌詞だが、圧倒的なビジュアルと自信あふれる姿勢でステージを飾るIVEを見れば、自ずとうなずける。
IVEの自己愛は、2ndシングル『LOVE DIVE』で頂点に達した。「Narcissitic, my god, I love it. お互いを照らした夜」という歌詞と、高慢に鏡を見る振り付けが加わり、自らに陥る瞬間を表現した。
そして彼女たちは新曲『I AM』を通じてメッセージの拡張を果たした。アルバム発売当日に行われた記者懇談会でIVEは、「これまでは愛において主体的な姿を歌ったとすれば、今回は自分自身の堂々とした姿を表現しようと思った。愛ではなく、主体的な人生にもっと集中した」と話した。
自己愛を越えて、自己確信(自分を信じる力)を歌い始めたのだ。
一方でLE SSERAFIMは、ありのままの「叙事」が似合うグループだ。彼女たちの物語は、現実に根付いているからだ。
これまで雨後の筍のように生まれたファンタジーと過度な設定の世界観に疲れたK-POPファンたちは、LE SSERAFIMの“現実密着型”の物語にハマった。LE SSERAFIMはメンバー5人が実際に経験した出来事や当時の感情を歌詞に溶け込ませ、自分たちの話をするグループとして定着した。
デビュー曲『FEARLESS』に登場する「興味がないの、過去へ/誰もが知っているtroubleも」という歌詞は、過去にオーディション番組に出演したホ・ユンジンをめぐる話を連想させる。
また、昨年10月に発表した『ANTIFRAGILE』に含まれた「忘れないで、私が置いてきたtoe shoes/何の言葉が必要なの」は、バレエを15年間してK-POPアイドルとしてデビューすることになったカズハの自伝的な話だ。3回目のデビューとなった宮脇咲良が歌う、「無視するな/私が歩んできたキャリア」という歌詞も、やはりインパクトが相当だ。
LE SSERAFIMが口にする歌詞からメンバーたちが歩んできた道、彼女たちの考えを探してみる楽しさがある。
来る5月1日に公開される新譜『UNFORGIVEN』のトレーラー映像は、LE SSERAFIMが録音したナレーションが盛り込まれた。このナレーションは、過去にメンバーたちが残した文章やインタビューで話した言葉をもとに作られ、没入感を加えている。
LE SSERAFIMに続いて5月8日にカムバックするaespaは、IVEやLE SSERAFIMとまったく異なる世界観を構築したグループだ。
ボーイズグループEXO(エクソ)から始まった所属事務所SMエンターテインメントの“ファンタジー世界観”が、aespaで花を咲かせたといえる。
aespaを理解するためには、「ae」(アイ)、「SYNK」(シンク)、「Black Mamba」(ブラックマンバ)、「nvisvis」(ナビス)、「FLAT」(フラット)といった新しい概念から学習しなければならない。
ここにSMエンタの世界観全体を網羅する「KWANGYA」(クァンヤ/荒野・広野)の存在が加わり、aespaのストーリーはあたかもSF映画を見るような気分を与える。
彼女たちの世界観を作ったSMエンタのSMCU(SM Culture Universe)職員は以前、とあるインタビューで、世界観をきちんと説明するための「設定集」まで作ったと明らかにしたことがある。内部で世界観を理解できないまま、他の方向のコンテンツを作らないためだった。
ファンの間でも容易に理解できないという声も出ているが、一度ハマると抜け出せないのが“aespa世界観”の醍醐味でもある。
それぞれ明確なカラーを持つガールズグループが善意の競争を繰り広げ、K-POP界は真夏よりもさらに熱くなっている。IVE、LE SSERAFIM、aespaに続き、(G)I-DLEまでカムバックを予告し、2022年以上に強力な「ガールズグループ大戦」が期待される。
(記事提供=OSEN)
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