まず、チョン・ドヨンは3人のなかで唯一、2000年代以降も地道に作品活動を続けてきた。
『星を射る』『プラハの恋人』といったドラマから、『私にも妻がいたらいいのに』『過速スキャンダル』『初恋のアルバム~人魚姫のいた島~』『ユア・マイ・サンシャイン』などの映画まで、メディアを問わず高い演技力を認められた。
その頂点として、2007年の映画『シークレット・サンシャイン』を通じてフランス・カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞。以降も彼女は、映画『下女』『無頼漢 渇いた罪』『男と女』、ドラマ『グッドワイフ 彼女の決断』『人間失格』などに出演した。
さらに新型コロナで映画界が沈滞期に陥ったあとも、彼女は『藁にもすがる獣たち』『人質 韓国トップスター誘拐事件』『非常宣言』と、毎年ひとつの作品に顔を出した。来る3月にもNetflix映画『キル・ボクスン』の公開を控えている状況だ。
一度も活動を止めたことのないチョン・ドヨンは、韓国コンテンツ産業のスペシャルな女優だ。
一方でシム・ウナは、1993年のMBC公開採用タレントになって『一つ屋根の3家族』でデビューしてから、10年とまともに活動しなかった。
それでもデビュー直後のドラマ『ファイナル・ジャンプ』で一気にスターとなり、スリラードラマ『M~わたしはあなたを知らない~』と強烈な復讐劇『青春の罠』でイメージの変身にも成功。映画『8月のクリスマス』と『美術館の隣の動物園』は、不屈の名作として絶えず語られている。
シム・ウナは2001年に結婚計画を発表して引退し、結婚式の2日前に破談となって衝撃を与えた。その後、2005年に現在の夫であるチ・サンウク元議員と結婚し、国会議員、またはその候補の妻として遊説活動に顔を出したことを除けば、芸能界との接点はなかった。
そんなシム・ウナが昨年から時ならぬ復帰説に巻き込まれた。BY4Mスタジオという総合コンテンツ制作会社と復帰作の出演契約を結んだという。1年を挟んで2度も浮上した復帰説にシム・ウナ本人はもちろん、夫のチ・サンウク元議員も「事実無根」と一線を引いた。
契約金まで渡したと明らかにしたBY4Mスタジオも、第3者の詐欺に遭ったような状況を明らかにして謝罪したが、シム・ウナ側の告訴を避けられなくなった。
それでもシム・ウナの復帰については、可能性が開かれている状況だ。彼女が長い隠遁生活を破ることができるかどうか期待が集まっている。
女優コ・ソヨンは、映画『二重スパイ』『アパートメント』『お姉さんが行く!』やドラマ『ブルーフィッシュ』『完璧な妻』で、2000年代以降も断続的ではあるが作品活動を続けてきた。しかし、それも2017年の『完璧な妻』が最後だった。
この間、2010年に俳優チャン・ドンゴンと結婚しており、以降は「女優コ・ソヨン」よりも「チャン・ドンゴンの妻」としての存在感が強くなった。
ただファッション業界での存在感は、今も生きている。日常でも華やかで多彩なスタイルを披露し、SNSを積極的に活用してブランド品を見事に着こなしている。最近ではジュエリーブランドを立ち上げ、事業家に変身。現在は女優よりも、セレブとしての存在感が優れたコ・ソヨンだ。
“世紀末トロイカ”と呼ばれてから20年余り。天と地のように分かれた3人の歩みは興味深い。彼女たちの活動が終止符を打ったわけではないだけに、今後の評価が変わる可能性もあるだろう。
それでも現在までの勝者は、明らかにチョン・ドヨンだ。「政治家の妻」や「セレブ」といった修飾語ではなく、「女優チョン・ドヨン」として誠実に活動している彼女が勝者になるのは、当然のことのようにも思える。
(記事提供=OSEN)
◇チョン・ドヨン
1973年2月11日生まれ。2007年に映画『シークレット・サンシャイン』で我が子を失った母親の姿を熱演し、第60回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞。カンヌ女優として世界的に人気を集めた。2015年に大ヒットした韓国版『グッド・ワイフ』の主演を務めたことでも知られる。
◇シム・ウナ プロフィール
1972年9月23日生まれ。1993年にMBCの第22期公開採用タレントとしてデビュー。ドラマ『ファイナル・ジャンプ』『M~わたしはあなたを知らない~』『スッキ』『愛しているなら』など、出演する作品ごとにシンドロームを巻き起こし、一気にトップ女優に浮上した。また映画界からも注目され、映画『八月のクリスマス』をはじめ、『美術館の隣の動物園』『カル』『Interviewインタビュー』など、数多くのヒット作を持つ。2001年に突然引退し、2005年に政治家のチ・サンウクと結婚。以降は家庭生活に専念している。
◇コ・ソヨン プロフィール
1972年10月6日生まれ。1993年のドラマ『明日は愛』で女優デビュー。翌年のドラマ『お母さんの海』でブレイクし、人気女優に。以降、ドラマ『幸福の始まり』『追憶』『裸足の青春』、映画『恋風恋歌』『二重スパイ』など数々の作品に出演。“コリアン・ビューティー”の代表格と呼ばれた。プライベートでは2010年に俳優チャン・ドンゴンと結婚。1男1女をもうけている。2017年のドラマ『完璧な妻』以降、演技活動はしていないが、セレブとして一挙手一投足が注目を集める。彼女が居住するソウル江南(カンナム)区・清潭洞(チョンダムドン)のマンションは、200億ウォン(約20億円)近い価格で、韓国で最も高いマンションとされている。