9月2日、BTS(防弾少年団)の「2030釜山万博」誘致祈願コンサートの会場が、安全性などの問題で変更となった。すでに混乱に陥っているが、今からでも“10万人最大規模”という量よりも質的な面に焦点を合わせなければならない時だ。
BTSは「2030釜山万博」の広報大使を務め、10月15日には釜山市のために無料コンサートを行う予定だ。これはなんと10万人規模で、BTSの韓国国内における歴代コンサートでは最大規模となる。
しかし計画が知らされるやいなや、安全性に関する声がすぐさま噴出した。
BTSが公演場所として当初予告していた釜山(プサン)広域市機張(キジャン)郡の日光(イルグァン)一帯は、韓国ガラス工業釜山工場の旧敷地で、進入経路も狭く、10万人もの観客が集まるのは危険だという声が提起された。
またトイレや食事場所などのインフラ不足問題とともに、近隣の宿泊施設不足により宿泊料が高騰し、コンサート開催の意味が色褪せるのではないかという指摘も出た。
結局、これまで提起された問題などを収斂し、釜山市とHYBEは機張郡の特設ステージから蓮堤(ヨンジェ)区の釜山アジアードメインスタジアムへと会場を変更。ただ釜山アジアードメインスタジアムの座席数は約5万4000人で、最大収容人数は約8万人だ。会場変更に伴う座席、および詳細内容は今後発表される予定だが、縮小は避けられない見通しだ。
BTSはこれまで、韓国国内では蚕室(チャムシル)メインスタジアム、海外ではアメリカ・ラスベガスなどで5万人規模の公演を行ってきた。大規模会場として有名なイギリス・ロンドンのウェンブリースタジアム公演も6万人規模だった。
これらは施設規模の面では、より多くの人数を収容できたが、交通、安全問題などの理由で縮小されたのだ。従って、釜山市が10万人規模の公演を、しっかりと管理できるかに対する疑問が提起されるのは自明の理である。公演まで2カ月も残っていない現時点で、ウェンブリースタジアムよりも安全な施設を作らなければならないという宿題が、釜山市と所属事務所に与えられた。
前述のように、公演規模の縮小は避けられないものと見られるが、むしろBTSファンのたちは歓迎ムードを漂わせている。ファンたちは先立って予定されていた機張郡特設ステージの安全問題に対して、引き続き問題を提起し、強力に縮小を要求したりもした。
ファンたちは、「公演を直接見に行けなくても、アーティストと(現地に向かう)ファンの安全が最優先だ。久しぶりの完全体公演だが、事故などが発生すれば、むしろアーティストのイメージだけが悪くなるだろう」と心配している。
ファンの憂慮のように、準備が不十分な特設ステージによる10万人規模の公演は、むしろ釜山市とBTS両方にとっての害になりかねない。これが、“最大規模”という部分よりも、イベント内容の“質”の部分にさらに重点を置かなければならないという声が噴出する理由だ。
オンライン宿泊予約サイトなどによると、釜山アジアードメインスタジアム近くの蓮堤区、東莱(トンネ)区などのホテルは、1泊100万ウォン(約10万円)に迫るほどの料金で取引されており、これらでさえも、ほとんど予約が締め切られた状態だ。
さらに公演前日の14日まで行われる「第27回釜山国際映画祭」もあり、釜山は15、16日の週末まで、多くの観光客で賑わうと予想される。釜山市は「現場点検班を編成し、点検と取り締まりを持続的に行う」と明らかにしている。
今回の公演は、釜山万博誘致祈願という意味のほかにも、ソロ活動への注力を宣言したBTSが久しぶりに行う“完全体”イベントということもあり、世界中から大きな注目を集めている。
開催1カ月前から疑問の声が噴出している今回の公演を通して、全世界に釜山市の存在を知らせ、BTSの地位を再確認できるよう、準備に万全を期さなければならない。
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