アメリカの市民権を取得して“兵役逃れ”の議論を巻き起こした歌手ユ・スンジュンの韓国入国が、再び行き詰まることになった。
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ユ・スンジュンが20年ぶりに母国の地を踏むことができるのかに関心が集まったなか、2度目のビザ発給訴訟の1審で敗訴した。
4月28日、ソウル行政裁判所・行政5部(キム・スンヨル部長判事)は、駐ロサンゼルス(LA)総領事を相手に提起した旅券・査証発給拒否処分取り消し請求訴訟で、原告の訴えを棄却した。もともと裁判所は今年2月の裁判官の定期人事前に判断を下す予定だったが、政府側の証拠提出のための弁論再開要請を受け入れ、判決公判が開かれることになった。
この日、裁判所は「現時点でユ・スンジュンに在外同胞査証を発給して得る利益より、これを認めないことで、認めない法益のほうが大きい」と判断した。さらに「国民の責任を果たすために努力したとは思えない」と指摘した。
また、「原告の行為は国家機関を欺瞞し、便法で国外に出国した後、市民権取得の手続きを受けるというもの」とし、「その目的や時期の不当性、行為態様や方法に照らしてみても、大韓民国の秩序維持や公共福利などの公益を害する恐れがある行為だ」と見た。
さらに、「原告は4級補充役の判定を受け、公益勤務要員の召集通知を受けた状況で国籍を離脱した」とし、「原告の存在が領土の最前方、または危険地で末端の役割で召集され、命をかけて多くの苦痛と危険を甘受した大韓民国将兵と家族に、大きな喪失感と剥奪感を与えていることはいうまでもない」と強調した。
ユ・スンジュンは2002年の軍入隊前に出国し、韓国国籍を放棄してアメリカ市民権を取得し、兵役義務を履行せず、議論になった。以降、ユ・スンジュンが兵役を逃れるために韓国国籍を放棄したという指摘が続き、韓国法務部はユ・スンジュンに対して入国禁止措置を下した。そのためユ・スンジュンは20年にわたって、韓国に帰れずにいる状況だ。
彼は2015年10月に在外同胞(F-4)ビザ発給を申請したが、LA総領事館がこれを拒否すると訴訟を起こした。1審、2審は原告の敗訴となったが、最高裁判所は破棄差戻し審を経て原告勝訴の判決を2020年3月に確定した。
しかし韓国外交部は、最高裁判所の判決は適法な手続きを経て決定せよという趣旨であるだけで、ビザを発給せよという趣旨ではないとし、ビザの発給を拒否。ユ・スンジュンは再びビザの発給を申請して拒否されると、行政訴訟を提起した。
これに先立って、裁判でユ・スンジュン側は「査証発給拒否処分自体が比例と平等の原則に反する」と主張した。これに対してLA総領事側は、「ユ・スンジュンが提出した発給書類証を見ると、訪問目的に就業目的となっている」とし、「ユ氏が在外同胞ビザに固執する理由は私益目的だ」と対抗した。
ただ法曹界では、ユ・スンジュンに韓国の地を踏めるかどうかは、もう少し見守らなければならない問題だと見ている。1審で敗訴したが、ユ・スンジュンが控訴する可能性が高いためだ。
控訴することになれば、2度目のビザ発給訴訟は2審に続くことになり、ユ・スンジュンの入国関連裁判は長期化する見通しだ。
それでも入国に反対する政府の基調が強硬なため、2審でも双方の立場が激しく対立するものと見られる。ユ・スンジュンが申請したF-4ビザは、韓国国内で芸能活動が可能な種類だという。政府側は、ユ・スンジュンにビザを発給して得る利益よりも、ビザの発給を拒否して得る公益のほうが大きいと主張している。
法的判断だけでなく、ユ・スンジュンの入国に対する否定的な世論も無視できない。20年以上の歳月が流れたが、依然としてユ・スンジュンに対する世論はそれほど良くない。
4月25日、リサーチ専門企業「メディア・リアリサーチ・コリア」が23~24日に成人男女3000人余りを対象に行ったアンケート調査によると、回答者の72.43%は韓国人として兵役義務を守らなかったことに対する処罰として「入国禁止は当然だ」という反応を示した。
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