強引な落馬シーン撮影で馬を死亡させた韓国ドラマ、議論沸騰のなか主演俳優は“沈黙”でいいのか

2022年01月26日 話題 #韓国ドラマ

韓国KBSのドラマ『太宗イ・バンウォン』(原題)の落馬シーン撮影によって出演した馬が死亡したというニュースは、様々な面で衝撃的だ。

【画像】ワイヤーで足を縛り転倒させて落馬シーン撮影

SNSを通じて公開された撮影中の映像を見ると、馬と馬にまたがったスタントマンの安全が心配になるほどで、非常に驚くべき撮影風景だった。

これまで数々のドラマや映画で落馬シーンが登場したが、これと同じように、あるいは似たような方法で撮影が進行されてきたと考えると、さらに残念といわざるを得ない。今回の事故が外部に発覚したので今になって変わろうとしているが、これまでは動物の生命を重視せず、小道具と同じように考える認識から抜け出せなかったと推測される。

去る1月1日に放送された『太宗イ・バンウォン』第7話では、狩りに出たイ・ソンゲ(演者キム・ヨンチョル)が落馬事故に遭い、意識を失う話が描かれた。放送後の「もう一度観る」ではイ・ソンゲが落馬する姿は編集されたが、撮影当時は馬の足にワイヤーを結び、スタッフが遠くからワイヤーを引っ張る方法で落馬を劇的に演出した。

その撮影ではスタントマンと馬が地面に叩きつけられており、撮影7日後に馬が死亡したというニュースまで伝わると、制作陣に対する視聴者たちの動物虐待議論が激しくなった。

(画像提供=KBS)『太宗イ・バンウォン』の俳優チュ・サンウク

また、主演俳優チュ・サンウク(イ・バンウォン役)のSNSアカウントはもちろん、妻である女優チャ・イェリョンのSNSにも悪質コメントが数日間続いている。今回の事件に妻まで関連させることは、まったく道理に合わないことだ。

制作陣は2度も謝罪したが…

放送会社であるKBS側とドラマ制作陣は、事故の全面的な責任者として誤りを認め、視聴者に謝罪した。KBS側は去る1月20日、報道資料を通じて「『太宗イ・バンウォン』撮影中に起こった事故に対して責任を深く痛感して謝罪する」と伝えた。

続いて「落馬シーンは非常に難しい撮影だ。馬の安全は基本であり、馬に乗った俳優の安全とそれを撮影するスタッフの安全まで考慮しなければならない。そのため制作陣は数日前から万が一に発生する事故に備えて準備し、確認する過程を経た。しかし、そのような努力にもかかわらず、実際の撮影当時、俳優が馬から離れて馬の上体が地面に大きく当たる事故が発生した。事故直後、馬が自ら起き上がっており、外見上の怪我がないことを確認した後、馬を返した。しかし最近、馬の状態を心配する視聴者の懸念が大きくなり、馬の状態を再確認すると、残念ながら撮影後1週間ほどで死亡したという事実を確認した。残念なことが発生した点に対して深い責任感を持たないわけにはいかない。事故を防ぐことができず、不幸なことが起きた点について視聴者に謝罪の言葉を差し上げる」と明らかにした。

それから4日後の1月24日になっても議論が過熱していったため、制作陣はもう一度、誤りを反省するという立場を出した。『太宗イ・バンウォン』側は、「KBSはドラマ撮影に投入された動物の命を保護できなかった責任を痛感し、視聴者の皆さんと国民にもう一度深く謝罪する」とし、「制作関連の規定を早急に設ける。自主的に今回の事故の正確な経緯を把握することはもちろん、外部機関の調査にも誠実に取り組む」と強調した。

制作陣は現在、ドラマ撮影をしばらく中断することを決めた。動物の命を尊重し、スタントマンやスタッフの安全を優先する建設的な撮影方法を図るために、反省の時間を持っていると推測される。

主演俳優は沈黙

KBSと制作陣が2度の謝罪をしたなか、ドラマの主人公を演じるチュ・サンウクやキム・ヨンチョルなどの俳優たちは、まるで今回の事故が自分とは何の関係もないかのようだ。特にチュ・サンウクは自分が登場するシーンでないうえ、撮影もPDとスタッフが進行したため、本人は立場を明らかにする理由がないと考えているように感じられる。

(画像提供=KBS)『太宗イ・バンウォン』

作品の前面でスポットライトを受ける主演俳優は、端役や特別出演の俳優とは異なり、主人公という名目で主体的に作品に参加して勢力図を変えることもできる。『太宗イ・バンウォン』が放送される2カ月前からチュ・サンウクがインスタグラムにドラマを宣伝し、撮影中に撮った写真を何度も上げていたことを振り返れば、今回の作品を自分のフィルモグラフィーに上げる“自分のもの”として大切にしてきたことがわかる。

だが今回の落馬事故が発覚した後は、遺憾表明の一言すらない。

見方によっては、チュ・サンウクは事故が起こるように陣頭指揮したわけではないため、立場を表明する必要がないと見ることもできる。本人も「私がしたことではない」という考えで、立場の表明を求める視聴者の反応に納得していないのかもしれない。

それでもドラマの制作が全面中断される可能性がある状況で、主演俳優が後ろに隠れ、すべての責任を制作陣と放送局に持たせるような姿は少し残念に映る。

主演俳優は“作品の顔”であるため、法的な責任追及の対象にはならなくても、主人公という点で道義的な責任感を持たなければならない。道徳的な責任は、制作陣だけに限定されるのではなく、その組織全体の構成員にまで広がることが多いからだ。俳優は何の責任もないというマインドは、「うまくいけば自分のおかげ、失敗したら他人のせい」という態度にも見える。

チュ・サンウクは今回の事故に対して責任をとり、退くべきという意味ではない。ただ主演俳優であれば、ひとまず前に出てドラマを愛してくれた視聴者に撮影および放送が再開される時間を待ってくれと説明し、了解を求めるのが正しい手順だろう。

『太宗イ・バンウォン』の主人公として、立場の表明が必要ではないだろうか。

(記事提供=OSEN)

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