アカデミー賞での“大麻入り”バッグが「税金爆弾」と呼ばれるワケ、韓国人女優は受け取るのか

2021年04月28日 話題

第93回アカデミー賞授賞式で助演女優賞を受賞した女優のユン・ヨジョンだが、約2000万円相当の価値を持つ「スワッグ・バッグ」(SWAG BAG)を受け取るかもしれない。

ユン・ヨジョンは4月25日(現地時間)、米アカデミー授賞式で韓国人初となる助演女優賞を獲得したが、公式的に授与されたのはオスカー・トロフィー(制作費用48万ウォン=約4万8000円)のみとなっており、賞金はないそうだ。

しかし、アメリカのマーケティング会社「ディスティンクティブ・アセッツ」が、監督賞、主演女優賞などの候補25人にプレゼント用カバンを提供するとされている。

これはオスカーとは無関係のディスティンクティブ・アセッツ社が2000年から提供してきたもので、スターの知名度を生かして“商品を宣伝したい”業者の商品を集めて作ったギフトバッグだ。いわゆる高級福袋みたいなものである。

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(写真=アカデミー賞公式Instagram)ユン・ヨジョン

海外メディアの報道によると、今年提供される贈答品の価値は総額20万5000ドル(約2050万円)と推定されている。

“無料”だけど“無料”じゃない?

今年のスワッグ・バッグには、二日酔いのためのビタミン・セラピー、純金の電子タバコ、睡眠状態を記録するヘアバンド、無料パーソナルトレーニング、無料脂肪吸入施術などが含まれているとのこと。

また、スウェーデンの高級ホテル「パター・ノスター・ホテル」のリゾート宿泊券や、映画『ブラックパンサー』で主演を務め、昨年故人となったチャドウィック・ボーズマンを称えるためのデジタル資産NFT(Non Fungible Token/非代替性トークン)カードも入っているそうだ。

なお、昨年『パラサイト 半地下の家族』で作品賞を受賞したポン・ジュノ監督が受け取ったバッグには、8万ドル(約800万円)相当のラグジュアリー・クルーズ旅行券や、ダイヤモンドのネックレス、純金のペンなどが入っていたとされている。

特に、ここ数年間はマリファナが含まれていることで話題になったこのバッグ。今回もカリフォルニア州で合法化された各種マリファナ成分を含んだ製品が入っているという。その内容は、24カラットの金箔を施した大麻溶液カートリッジ、薄めた大麻溶液とメラトニンを混ぜた睡眠誘導剤、大麻成分が入った膏薬などだそうだ。

同社はアメリカの配達サービス会社「ポストメイト」を通じて、オスカー候補者の自宅や宿泊先に送るとしたが、“無料”と謳う業者側の説明とは異なり、実質無料ではない。

20万5000ドルにも達するこのギフトバッグには、米国国税庁(IRS)が芸能人の所得に分類して税金を課すそうだ。

(写真=ディスティンクティブ・アセッツHP)スワッグ・バッグの内容物

仮に、望んでいないのにも関わらず、一方的に渡されたバッグを受け取ったオスカー受賞者や候補者は、巨額の税金だけを納めなければならないこととなる。

米経済誌のForbesは、連邦税とカリフォルニア州税など50%を税金として払わなければならないと分析しており、約2000万円もの価値があるバッグを受け取ると、およそ1億ウォン(約1000万円)の税金を払わなければならない計算となる。韓国ではこのバッグのことを「税金爆弾」と揶揄する声もあるそうだ。

ユン・ヨジョンは受け取らないと推測

また、ニューヨーク・タイムズ紙は、「プレゼントアイテムは無料ではなく、オスカー候補者はプレゼントの受け取りを拒否できる」とも伝えている。

現時点では、『ミナリ』でオスカー演技賞と監督賞にノミネートされたユン・ヨジョン、スティーブン・ユァン、リー・アイザック・チョン監督(韓国名チョン・イサク)に、バッグを渡したかどうかはわからない。

しかし、ユン・ヨジョンの場合は、大麻製品が含まれたマーケティング用贈呈品を受け取る理由がなさそうだと推測される。

ユン・ヨジョン

この催しは2001年から業者から始まり、企業から協賛を受けたアカデミー賞が候補者と授賞者にプレゼントバッグを配っていたが、米税務当局の調査を受けたあと、2006年に廃止されている。 

その後、ディスティンクティブ・アセッツ社が“オスカー・バッグ”と宣伝し、販促活動を展開したが、アカデミー側は2016年に提訴。この裁判によって、同社はオスカーとは全く関係がないと明記させたそうだ。

アカデミーは訴訟当時、同社がマリファナ用吸入器や扇情的な製品を入れたため、オスカーの品位を傷つけたと指摘している。

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