日本で一大ブームを起こした『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』が、お隣・韓国でも「静かなブーム」(『ソウル経済』)となっている。観客動員数が100万人を突破したのだ。
3月8日、韓国映画振興委員会によると、『鬼滅の刃』は公開6週となる3月7日までに累計観客動員数105万2396人を達成。韓国で観客動員数100万人を突破したのは、ピクサーのアニメーション映画『ソウルフル・ワールド』に続いて、今年2作品目だ。
そもそも『鬼滅の刃』は韓国において、なにかと騒動になることが多かった作品といえる。
日本でも映画が公開されていなかった2020年4月には、『鬼滅の刃』にそっくりな『鬼殺の剣』というゲームが韓国の会社で制作され、リリース直後から『鬼滅の刃』に酷似していると批判の的になった。
【画像】『鬼滅の刃』“パクり疑惑”の韓国ゲーム、キャラが似すぎ…サービス終了へ
ゲーム会社側は「鬼と戦う設定と、キャラクターの日本式の服装によって『鬼滅の刃』と類似していると判断されたようだ」として盗作を否定したが、炎上が収まらずにサービスを終了させる騒動となったりした。
また韓国で映画公開が決まると、主人公・炭治郎の耳飾りが旭日旗のデザインに似ているとして波紋が広がったことも。そのため韓国の劇場版とNetflix版では、炭治郎の耳飾りが別のデザインに修正されている。
ただ一部からは「韓国版だけ修正して外国では修正されておらず、大きな問題」との声もあり、今も議論は終わっていない。
そういった議論があるのも事実だが、韓国で『鬼滅の刃』は観客動員数100万人を突破するヒット作となっている。なぜか。
韓国メディアの分析を見ると、まず多いのが「“N次観覧”が続いている」という見方だ。これは日本でも同じ現象が起きたように、リピーターが多いという意味だ。
「マニア層の確固たる選択と動き」(『イルガン・スポーツ』)があり、「今まで見たことのないスペクタクルなアクションと高いクオリティの作画、演出で観客の視線を掴んでいる」(『ヘラルドPOP』)という。
それだけでなく「家族愛から同僚愛、人類愛までにつながるストーリーは、深い感動までプレゼントし、全世代の観客の心をとらえた」(『スポーツ朝鮮』)との分析もある。マニア層から幅広い世代の心をとらえ、何度も劇場にまで足を運びたくなる作品というわけだ。作品自体が持つ力ということだろう。
次に、2月21日からNetflixでテレビ版の公開が始まったことが追い風になっているとの見方が強い。
配給会社の関係者が韓国メディアに、「テレビ版シリーズを観覧後に劇場を訪れ、すでに劇場版を観覧した人がテレビ版を視聴後、再び劇場に訪れている」とし、「IMAX、4DXなど多様なバージョンで上映されている点も人気の理由」と説明していた。
実際にNetflixで公開されたテレビ版も人気が高く、「今日のTOP10コンテンツから外れないほど人気」(『SPOTV NEWS』)なんだとか。
いずれにしても韓国で『鬼滅の刃』が様々な騒動のあるなかでも高い人気を誇っていることは間違いない。今後も観客動員数を伸ばしていくのか注目してみたい。
(文=慎 武宏)
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