BTSなどを擁する韓国最大の芸能事務所HYBEと、その傘下レーベルADORの元代表で“NewJeansの母”と呼ばれるミン・ヒジンが、裁判で激しく争った。
ソウル中央地裁民事合議31部(ナム・インス部長判事)は12月18日午後、HYBEがミン・ヒジンを相手に提起した「株主間契約解約確認」訴訟と、ミン・ヒジン側がHYBEを相手に起こした「プットオプション行使に伴う株式売買代金請求」訴訟の弁論期日を併合して進行した。
当事者尋問が行われたこの日、出廷したミン・ヒジンは5時間を超えて陳述し、双方の尋問は長時間に及んだ。ただ、その内容は“神経戦”の様相を呈し、裁判部から「中立的かつ客観的な言葉の使用」を求められる過熱ぶりだった。
まず、HYBE側は尋問で、過去のカカオトークのやり取りを取り上げた。HYBE側は、2021年3月にミン・ヒジンが巫俗人(占い師)と交わした会話の中で、「3年で取り戻そう」「自分が持ちたい」といった趣旨の文言を提示し、その意味を追及した。
これに対しミン・ヒジンは、このやり取りは「ADOR設立前」の出来事であり、株主間契約とは無関係だとして線を引いた。さらにHYBE側が「否定的な感情があったにもかかわらず契約を締結したのか」と問うと、ミン・ヒジンは感情とビジネスは分けるべきだと応じた。
またHYBE側は、「BANA」との関係についても取り上げた。BANAはADOR設立当初から現在に至るまで、ANR業務を独占的に担当し、NewJeansの全アルバムをプロデュースしてきた音楽レーベルだ。
契約書によると、ADORはBANAに対し、毎月約3300万ウォン(約330万円)を業務委託費として支払っており、さらにキム代表個人には追加の人件費および総売上の5%をインセンティブとして支給していた。
HYBE側は、BANAが2022年にNewJeans全体の精算金額の2倍(10億ウォン=約1億円)に相当する額を業務委託費として受け取っていたと主張した。
これに対し、ミン・ヒジンは特別扱いには当たらないとの立場を維持し、「NewJeansが例外的な成功を収めたことを考えれば、10億ウォンは大きな金額ではない」と述べるなど、成果に応じた正当な報酬であると反論した。
この過程で、BANAのキム代表について、ミン・ヒジンは「元恋人」と明らかにし、「NewJeansのすべての曲をプロデュースしたとても能力のある人」と説明した。そして「NewJeansプロジェクトが始まる前に別れ、業務過程でも私的な交流はなかった」と伝えた。
HYBE側が「BANAを利用して競業禁止の解除を試みたのではないか」と問うと、ミン・ヒジンは「まったく違う」と否定。さらに、「問題となっているカカオトークのやり取りは2021年4月のもので、ADOR設立以前であり、株主間契約とも無関係だ」と述べ、「当時はBANAとの業務契約もなく、持分関係も一切ない。何の関連性もない」と強調した。
2024年9月に行われたNewJeansメンバーによる「緊急YouTubeライブ配信」についても質疑が交わされた。ミン・ヒジンは、配信内容の方向性を把握していた点は認めつつも、このライブ配信は自身のためではなく、メンバーたちが自らを守るための行動だったと主張した。
また、HYBE側は、2024年4月当時、ADORの副代表であったイ氏がHYBEの財務関連フォルダにアクセスし、資料をダウンロードした状況に言及し、ミン・ヒジンにも資料が共有されたのかと尋ねたが、ミン・ヒジンは否定した。
ミン・ヒジンは裁判の過程で、HYBEによる監査が報復的性格を帯びていたという主張も繰り返した。最終陳述では、今回の訴訟は金銭目的ではなく、企業文化の問題を正すためのものだと述べ、「苦痛に満ちた訴訟」「光化門(クァンファムン)で殴られている気分だ」と心境を吐露した。
なお、HYBEは2024年7月、ミン・ヒジンがNewJeansとADORを私物化し、会社に損害を与えたとして株主間契約を解約したと主張しており、同年8月にミン・ヒジンはADOR代表職を解任された。
ミン・ヒジンは同年11月に社内取締役を退任し、プットオプション行使の意思を通知したが、HYBEは7月の契約解約を根拠に、プットオプション自体が効力を失ったとの立場を取った。
これに対しミン・ヒジン側は、契約違反はなく、解約通知は無効であり、したがってプットオプション行使も有効だと反論している。
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