BTSのJINとの深い親交でも知られる料理研究家ペク・ジョンウォンの出演予定だったバラエティ番組が、相次いで停止した。
再開のめどは立っていない。
5月に初放送予定だったMBCの『南極のシェフ』(原題)は無期限延期となり、上半期に放送が予定されていたtvNの『商売天才ペク社長』(原題)も日程が確定できていない状態だ。
ペク・ジョンウォンのYouTubeチャンネルも1カ月以上、更新が止まっている。
ペク・ジョンウォンが代表を務める大手外食企業「THE BORN KOREA」は、今年1月末に旧正月向け商品として発売された「ペクハム」の品質をめぐる論争を皮切りに、農地法違反疑惑、自社製品の原産地表示の誤り、「セマウル食堂」のオンラインカフェに設けられていた「社員ブラックリスト」掲示板、農薬噴霧器の使用など、次々と物議を醸している。
放送関係者らは現在の状況を否定的に見ている。世論が悪いなかで無理に放送を強行すれば、より大きな逆風を招きかねないというのがその理由だ。
ある放送関係者は「(ペク代表は)一度謝罪したが、その後も論争は続いた。謝罪の対象が株主や(THE BORN KOREAの)消費者に限られていたためだ。ファンや視聴者に対する真摯な追加謝罪がない限り、番組出演は事実上難しい」と述べた。
別の関係者も「世論が非常に悪い。このような状況で番組を進行するのはリスクが大きい。制作陣も相当悩んでいるはずだ」と語った。
ペク・ジョンウォンは3月28日に開かれたTHE BORN KOREAの定期株主総会で、「経営者としてより徹底した管理ができなかった点を痛感して深く反省している。今回の件を契機に、会社内部のシステムを原点から再点検している」と謝罪した。
彼が株主に謝罪したのは初めてのことだった。当時、ペク・ジョンウォンは株主総会終了後、報道陣に頭を下げ、株主やフランチャイズ加盟店主、顧客に向けて謝罪のメッセージを伝えた。しかし、視聴者や待ち続けたファンに対する謝罪はなかった。
ペク・ジョンウォンが視聴者に謝罪すべき理由は明白だ。これまで番組を通じて築き上げてきたイメージと、彼が運営する会社の実際の姿との間に乖離が生じているからだ。
今回の論争は単なる行政上のミスや手違いとは言い難いとの指摘もある。一部の視聴者は「意図的に消費者を欺いたのではないか」という強い疑念を示している。
特に今回の問題は、ペク・ジョンウォンが番組で繰り返し強調してきた「正直な食材」という原則と真っ向から衝突する。番組での彼のイメージを信じて商品を購入した人々は、裏切られたと感じるしかない。
THE BORN KOREAに対する好感度も、ペク・ジョンウォンがバラエティ番組で見せてきたイメージに大きく依存している。番組を通じて築いたイメージが会社のブランドに実質的な影響を及ぼしてきたという点で、視聴者は欺かれたと受け止める可能性がある。
そのため形式的な謝罪ではなく、自粛などの真摯な姿勢の変化が求められる。
文化評論家のチョン・ドクヒョンは「かつてはペク・ジョンウォンが登場するだけでコンテンツになったが、今は放送業界が彼をリスクと見なしている。彼はおもしろさよりも真摯さを前提とする人物であるため、大衆の信頼を回復できなければ、番組効果も保証できないだろう」と見通した。
◇ペク・ジョンウォン プロフィール
1966年9月4日生まれ。韓国の大手外食企業THE BORN KOREA(ザ・ボーン・コリア)の代表取締役を務める外食経営専門家。“韓国料理の巨匠”とされており、タレント活動にも積極的。延世大学社会福祉学科を卒業し、砲兵将校として兵役を務めた。その後、1993年にソウル江南(カンナム)で「元祖サムパプチプ」をオープンして外食産業に参入。チェーン店所有数が韓国最多を記録する企業に発展させた。日本でも「本家」(ボンガ)、「セマウル食堂」「香港飯店0410」「ハンシンポチャ」といった人気店がチェーン展開されている。
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