ガールズグループNewJeansが11月28日にADORとの専属契約解除を宣言して1週間が経過した。
最近ではADORがNewJeansに専属契約有効確認訴訟を提起して反撃に出たが、両者の対立の舞台が法廷に移った場合、NewJeansはADORに対し「違約金」を支払わなければならない可能性が高い。
そんななか、業界内外では「違約金規模」が最大の関心事となっているようだ。
ADORは現在、「(ADORは)契約に違反しておらず、信頼関係も損なわれていない」という主張でNewJeansを説得しようとしている。一方、NewJeansは法的訴訟をせず契約を解除しようとする「無訴訟戦略」を進めている。
会見当時、NewJeansは数千億ウォンと推測される違約金について「違約金に対する記事を見たが、専属契約は違反していない。これまでも最善を尽くして活動してきたが、違約金を払わなければならない理由はないと思う。ADOR、HYBEが契約に違反してきたので今、このような状況に至ったため、責任はADORとHYBEにあると思う」と発言した。
ADORの立場としては、NewJeansが来年のアルバムリリース及びツアーに関する議論に「非協力的だ」と判断し、帰責事由がNewJeansにあるとして、違約金を要求する訴訟手続きを踏むことができる。
NewJeansの具体的な契約条件が公開されたことはないが、標準契約書の基準を適用した場合、2029年までに残されたNewJeansとADORの間の契約期間の月数に、契約解除時点直前の2年間の月平均売上額を掛けることになる。
業界では、NewJeansの違約金は4000億~6000億ウォン(日本円=約422億円~約634億円)の間になると予想されている。ただ、違約金の規模が過剰だと判断されれば、裁判所で減額する場合もある。
現在行われている事例として、ガールズグループFIFTY FIFTYが挙げられる。
FIFTY FIFTYを脱退した元メンバーのセナ、シオ、アランの3人は、前所属事務所ATTRAKTから専属契約違反による損害賠償訴訟を提起された。
ATTRAKTが算定した損害賠償額と違約金は数百億ウォンに達するが、訴状提出段階では明示的一部請求の方式で、130億ウォン(約13億円)の損害賠償を請求したと知られている。
これに対して脱退メンバー3人は、ATTRAKTのチョン・ホンジュン代表を相手取って3億ウォン(約3170万円)の精算金請求訴訟を起こした。今回の訴訟は3億100万ウォン(約3181万円)規模だ。
3人は以前、ATTRAKT相手に専属契約効力停止仮処分申請を提起したが、こちらは敗訴している。
過去には、歌手パク・ヒョシンが前所属事務所と法的に攻防を繰り広げた末、専属契約を違反したという理由で15億ウォン(約1億5853万円)の違約金を賠償した。パク・ヒョシンのアルバムリリース遅延、公演への支障による専属契約違反が認められたためだ。
さらに遡ると、ロックバンドM.C The Maxは2002年から5年間、事務所A社と専属契約を結んだが、2006年7月に事務所側に債務不存在確認訴訟を提起し、契約終了前の2007年1月に別の事務所B社と契約を結んだ。
ただ、A社がM.C The Maxに対し違約金47億ウォン(約4億9662万円)を支払うよう提起した損害賠償請求訴訟で、裁判所はM.C The Maxの契約違反を認め、メンバーに各5000万ウォン(約528万円)の賠償を命じる判決を下した。
当時の判決文には、「M.C The Maxのメンバーが専属契約を違反こそしたが、1stアルバムから4thアルバムまで作品を発表し、契約を誠実に履行した点と、被告の所属アーティストとして活動する間に発生した経済的利益を被告も享受してきた点などを考慮して、支払う違約金は5000万ウォン程度に減額することが相当だ」と書かれている。
だが、NewJeansの場合、訴訟戦と違約金紛争で触発されたほかのアーティストと事務所間の対立とは異なる様相を呈している。
過去の事例は通常、精算などの問題による信頼関係の破綻が原因になった場合が多かったが、ADORはNewJeansに対し、活動初年度に52億ウォン(約5億4951万円)を精算するなど、同様の問題と類似しているとは言い難い。
結局のところ、NewJeansの違約金が発生するか否かは、「契約解除の責任は誰にあるのか」を裁判所がどう判断するかにかかっている。
契約解除の理由がADORにあることが証明されれば、NewJeansが違約金を支払わないケースもあり得る。
損害賠償訴訟関連を専門とするとある弁護士は、「NewJeansが違約金に対する損害賠償責任を負担するためには、契約解除に影響を及ぼすメンバーの帰責事由が存在しなければならない。そうではなく、双方の帰責事由が大きく専属契約が解除されたとすれば、違約金は認められない」と見解を伝えた。
一方、別の専門家は「NewJeansが主張するADORの帰責事由が、違約金が全額免除されるほど重大な水準だと見ることは難しいだろう」とし、NewJeansが違約金を支払わない確率は低いとしている。
◇NewJeans プロフィール
2022年7月22日にミュージックビデオを公開しながら電撃デビューした5人組ガールズグループ。2004年生まれのミンジとハニ、2005年生まれのダニエル、2006年生まれのヘリン、2008年生まれのヘインで構成された。デビューアルバム『New Jeans』の発売と同時にライジングアーティストとして急浮上。デビュー曲『Attention』と『Hype Boy』が韓国Melonの「TOP 100」チャートで1、2位を記録した初のガールズグループとなった。またK-POPグループで初めてデビュー曲(『Attention』)がSpotifyの「ウィークリートップソング・アメリカ」にチャートインした。
■【比較】「NewJeansのコピー」とされたILLIT、どこまで似てるのか
前へ
次へ