年間売上2兆ウォン(日本円=約2205億9480万円)の大台が目前にもかかわらず、笑えない。半年も続いている“NewJeansの母”ミン・ヒジン氏との内紛など悪材料が続き、ファンダムによる不買運動も起こっている。
結局、第3四半期の純利益は激減した。韓国の大手芸能事務所HYBE(ハイブ)が、相次ぐ悪材料に振り回されている。
HYBEは11月5日、2024年第3四半期(連結)に売上高5278億ウォン(約582億円)、営業利益542億ウォン(約60億円)を記録したことを発表した。
前年同期比では、売上高が1.9%、営業利益が25.4%の減少を記録。当期純利益も前年同期比98.6%減の14億ウォン(約1億5400万円)だった。
もっとも、HYBEは「2024年第3四半期の累積売上が1兆5000億ウォン(約1650億円)を越えた。昨年に続き、2年連続の年間売上2兆ウォン達成に青信号が灯った」と楽観的な見通しを立てている。
ただ、現在のHYBEは笑っていられるような状況ではない。前出の通り、第3四半期の売上と営業利益がともに減少したからだ。
コンテンツ売上が63%以上の上昇を記録するなど、“間接参加型”の売上で善戦を見せたが、アルバム・音源(18.8%減)、公演(14.8%減)など、“直接参加型”とされる核心分野の下落幅が大きく、営業利益減少を避けられなかった。これについて、HYBEは夏のパリ五輪開催の影響が大きかったと説明している。
しかし、同じK-POP業界の大手であるSMエンターテインメント(以下、SM)が発表した第3四半期の経営実績を見ると、同四半期のHYBE(14億ウォン)の10倍以上にもなる160億ウォン(約17億6565万円)の売上純利益を記録している。
HYBEと同様に前年同期比でアルバムや音源の売上が減少しているが、公演の拡大や公演事業の内在化により、公演関連の売上が増加したのだ。
HYBEは第4四半期において、自社の核心IPの活動で巻き返しを図ろうとしている。
まず、BTS・JINが来る11月15日に初のソロアルバム『Happy』をリリースし、第3四半期に下落したアルバム・音源及び公演の売上も引き上げる予定だ。10月に12thミニアルバム『SPILL THE FEELS』でカムバックし、初動販売枚数316万枚で“トリプルミリオンセラー”を達成したSEVENTEENも、来年初めまでワールドツアー「RIGHT HERE」を開催する。
だが、HYBEは傘下レーベルADOR前代表のミン・ヒジン氏との紛争、役員用報告書「ウィークリー音楽産業レポート」流出による内部ファンダムの不買運動、BTS・SUGAの電動スクーター飲酒運転などが、依然として“悪材料”として残っている。
特に、音源産業レポートには他事務所のアイドルに対する露骨な品評などが含まれていたため、企業イメージにダメージを受けたことが大きかった。
同件については傘下レーベルPLEDISエンターテインメント所属アーティストのSEVENTEEN・スングァンも批判の声を上げており、ファンダム不買運動の動きにまで広がっている。最近では、政府の雇用労働部にHYBEの最高企業認定取り消しを要求する国民同意請願も出てきた。
“年間売上2兆ウォン時代”を切り開き、上場4年目で屈指の大手企業に成長したHYBEが、今後さらに長期的な飛躍を遂げるためには、ADORの正常化と企業イメージ改善が必須だ。
エンターテインメント事業では、アーティストのアルバム・音源、公演、広告活動の成果が売上と直結する。HYBEは今年8月、新たな事業戦略「HYBE 2.0」を発表し、Weverseの収益強化などアーティスト活動への依存度を下げ、新事業に対する期待を示してきた。
これに伴い、今年10月からWeverseはアプリ起動画面の下段バナーに広告を入れ、有料のメンバーシップを導入した。ただ、第3四半期でWeverseのMAU(月間アクティブユーザー)は970万人と増加傾向が続いたが、前年同期比では90万人もの減少を記録した。
現在、HYBEにはリスクによる問題点が随所に点在している。結局のところ、エンターテインメント事業ではファンの民心を失ってしまえば、動力も弱まる。その観点から見ると、HYBEは決して短くない期間で“ブレーキ”がかかっていると言って良い。
ミン・ヒジン氏との内紛の長期化で、NewJeansのファンダムだけでなく、ほかの所属アーティストのファンダムからも苦情が殺到している。課題が山積だ。
ミン・ヒジン氏は、来年にNewJeansのフルアルバムリリースとワールドツアーを予定していることを明らかにしている。そのため、まずはADOR正常化を通じて事態を収拾させることが最優先と見られる。
HYBEのイ・ジェサンCEO(最高経営責任者)もやはり、NewJeansに関して「今後もHYBEは、NewJeansの持続的な成長のために最善を尽くしてサポートする予定だ」と明らかにしていた。あらゆる騒動のなかでもHYBEが危機を脱することができるのか、今後の動向が注目される。
■【画像】他社アイドルを侮辱?HYBEの「業界動向レビュー資料」
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