ADORやミン・ヒジン代表との対立が続くなかでも、HYBEが韓国のエンターテインメント企業として初めて「大企業集団」、つまり“財閥”に指定された。
韓国の公正取引委員会(公取委)は5月15日、国内88社の企業集団を「公示対象企業集団(大企業集団)」に指定したことを発表した。
これにより、韓国国内の大企業集団は前年(82社)から6社増加し、88社の企業集団が各社保有する系列会社も含めると、所属会社は前年から242社増加の3318社となった。
このなかで、総合エンターテインメント企業のHYBE(ハイブ)が、国内同業種で初めて大企業集団に指定される新しい歴史を書いた。
公取委では、系列会社の資産総額と資本総額を加えた資産が5兆ウォン(日本円=約5747億100万円)を超えた企業集団を「大企業集団」に指定している。
HYBEが今年3月に発表した事業報告書によると、2023年12月時点で資産総額5兆3457億ウォン(約6149億9552万円)、負債総額2兆2358億ウォン(約2572億9275万円)、資本総額3兆1099億ウォン(約3578億8296万円)と集計された。
このため、HYBEはいわゆる“財閥ランキング”の財界順位で85位を記録し、大企業集団に仲間入りした。
これに先立ち、HYBEは韓国国内のエンターテインメント企業として初めて年間売上2兆ウォン(約2283億1415万円)の大台に乗った。
2023年の連結基準売上高2兆1781億ウォン(約2486億114万円)、営業利益2958億ウォン(約337億7526万円)をそれぞれ記録したが、前年比売上は22.6%、営業利益は24.9%上昇した。両項目とも史上最高値だ。
また、この3年間の年平均成長率(CAGR)は売上31.7%、営業利益24.7%を記録した。
公取委は、K-POPの世界化、エンデミック(一定周期の流行)以降の消費心理回復によって、エンターテインメント産業が急速に成長したと評価した。
K-POPの世界化によって、アルバム、コンサート、コンテンツなどが主な収益源であるエンターテインメント業界が急激に成長。そのなかで、BTSなど多数のグローバルファンを保有するアーティストが属するHYBEが大企業へと飛躍した。
HYBEが大企業集団に指定されたことで、創設者のパン・シヒョク議長が総帥(同一人)に指定された。
パン議長は、昨年末基準でHYBEグループの持株会社であるHYBEの持分31.57%を保有した筆頭株主だ。
2021年7月にHYBEの代表取締役を辞職し、現在は同社の理事会議長職に集中している彼は、「大企業総帥」というタイトルを新たに加えることになった。
パン議長が2005年に「Big Hitエンターテインメント」として設立し、2021年より現在の社名に変更したHYBEは、BTSの成功とともに「中小事務所」から「世界的企業」へ成長を遂げてきた。
現在はBTSやTOMORROW X TOGETHERなどが所属する「BIGHIT MUSIC」をはじめ、LE SSERAFIMが所属する「SOURCE MUSIC」、SEVENTEENやfromis_9、TWSなどが所属する「PLEDISエンターテインメント」、ZICOやBOYNEXTDOORなどが所属する「KOGエンターテインメント」、NewJeansが所属する「ADOR」、ENHYPENやILLITなどが所属する「BELIFT LAB」など、傘下11レーベルを擁するマルチレーベルシステムで運営されている。
今年3月には、パン議長の給与が1ウォン(約0.1円)に策定され、話題を集めた経緯がある。
これについてHYBE側は、「議長としての責任経営強化及び、HYBEの“ペイ・フォー・パフォーマンス(Pay for Performance)”報償哲学のメッセージを強調するため、基本年俸を1ウォンに決めた」と説明している。
ただ、パン議長は給与こそたったの1ウォンだが、代わりに賞与として9億8000万ウォン(約1億1203万円)を受け取る。昨年も、給与5000万ウォン(約571万円)、賞与3億ウォン(約3430万円)、そのほかの勤労所得700万ウォン(約80万円)を受け取った。
これは、パン議長の短期成果インセンティブ制度によって、報償委員会が2023年の経営成果や評価指標に従って決定したものだ。
パン議長は「責任経営」「報償哲学」の基調を自ら実践しており、自身の専門領域である音楽プロデューサーとしての役割に集中している。
これにより、パン議長は韓国エンターテインメント業界で初めて、大企業のトップへと成り上がった。
音楽でK-POPの新たな歴史を描いたパン議長が、もう一つの巨大な足跡を残した。
(記事提供=OSEN)
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