元日本人K-POPアイドルが業界の実態を暴露し、波紋を呼んでいる。
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5月21日、K-POPガールズグループ公園少女(GWSN)の元メンバーであるミヤは、『朝日新聞』とのインタビューで、韓国のアイドル養成システムについて言及した。
練習生時代からデビュー、そして事実上のグループ解散まで、韓国で約5年を過ごしたミヤは現在、日本の芸能事務所と契約し、活動を予告している。
ミヤはこのインタビューで「(韓国での練習生時代)私たちは監獄にいた」と表現。「練習室に行くとマネージャーの前で体重を測った。バナナとゆで卵を食べる、リンゴ1個だけ食べるなどの献立も報告する。狂いそうだった」とし、「お金も自由な時間も携帯電話もなかった。家族とも、マネージャーの電話でやっと連絡が取れるほどだった」と明かした。
特に、所属事務所の徹底した食生活管理があった点を強調し、「ミュージックビデオ撮影時にスタッフのための食べ物があった。トッポッキとチキンなどを盗んでこっそり食べたりした。このことでメンバー間のチームワークが強くなった」と付け加えている。
公園少女は2018年9月にデビューした7人組の多国籍ガールズグループで、ミヤ、ソリョン、ソギョン、レナ、アン、ミンジュ、ソソで構成されていた。しかし、デビュー1年で当時所属していたKIWIメディアグループが再生手続きに踏み切ったことから、THE WAVE MUSICに移籍することに。
しかし、2022年2月から所属事務所が賃貸料を払わず、メンバー全員が宿舎から強制退去となり、同年5月に発売したアルバムを最後に、現在まで特別な活動ができていなかった。
結局、公園少女メンバーたちは今年1月、THE WAVE MUSICを相手に専属契約解約訴訟を提起し、一審で勝訴。特に被害が大きかったのは、ミヤと台湾国籍のソソだった。事務所でビザに関する手続きを怠っていたことから2人は不法滞在者扱いとなり、罰金を納付し、前科がつくはめになったのだ。
このような波乱万丈の韓国生活を終えたミヤは今年4月、日本の芸能事務所と契約を結び、新たなスタートを知らせた。
ミヤの今回の暴露によって、アイドル育成システムに隠された人権侵害など、K-POPの闇が再び明るみに出てきた。
ミヤ以前にも、さまざまなアイドルグループが過度な人権侵害、暴力、虐待が暴露した事例は少なくない。
昨年はボーイズグループOMEGA Xのメンバーたちが、前所属事務所の女性代表から、暴言、暴行、セクハラを“日常的”に受けていたと暴露し、波紋を呼んだ。実際、代表がアメリカ公演を終えたメンバーたちを怒鳴りつける場面がネット上に公開され、衝撃を与えたことは記憶に新しい。
2019年には、バンドTheEastLightのメンバーだったイ・ソクチョル、イ・スンヒョン兄弟が、プロデューサーから常習的に暴行を受けていたとし、常習児童虐待疑惑で告訴したこともある。このプロデューサーは懲役1年4カ月の刑を言い渡された。
ほかにも同年、ボーイズグループTRCNGメンバーのウヨプ、テソンも、事務所スタッフに暴行、暴言を受けたとして計3人を告訴。この内2人は罰金刑の処分を受けた。
現在、K-POP界は黄金期を迎えていると言っても過言ではない。優れた企画力と育成システムをベースに、多くの芸能事務所がアイドルを発掘・育成しており、1年間で数十グループ、数百人を超えるアイドルが続々とデビューしている状況だ。
これにより、多くの10代の夢はアイドルになり、数多くの新顔がスポットライトを浴びながら“偶像”として取り上げられている。
しかし、急激な市場の成長曲線とは異なり、中小規模の芸能事務所で繰り返されているパワハラなどは、業界の闇を如実にあらわしていると言えるだろう。
狭き門を突破して大衆の前に立つアイドルも、デビューという目標に向かって汗を流す練習生も、権利よりは義務を強調する業界の空気によって統制の対象になってしまう。
韓国の国家機関である「国家人権委員会」が、2020年に実施した「大衆文化産業従事児童・青少年人権状況実態調査」によると、多くの人が製作現場で暴言、暴行、いじめを受けていることが判明した。それだけでなく、ダイエットや整形手術の勧誘を受けるなどの人権侵害も受けているという。
それだけでなく、年齢や外見、身体条件などによる差別行動、携帯電話や恋愛も禁止されるなど、プライバシーの保護と自己決定権が尊重されないことも問題として指摘されている。
大部分のアイドル練習生が、青少年期から過度な競争を体験する点も深刻な問題だ。
「2021大衆文化芸術産業実態調査」報告書によると、韓国の芸能事務所に所属する練習生1895人のうち、43%(826人)が19歳未満の未成年者とされている。
早ければ10代前半から、見た目に対する過度な強迫観念に苦しめられたり、強度の高い訓練によって人格と権利を侵害されたりすることが内面化され、成人になった後も異議を提起できず、不適切な形で表出するケースもしばしば発生している。
ある中小事務所の関係者は「練習生に対する苛酷な行為が良くなったとしても、結局彼らのデビューを決めるのは所属事務所だ。年齢も若く、社会生活も皆無な彼らにとって、所属事務所は絶対的権力と同じだ」とし、「人権侵害や不当な待遇を受けても、簡単に問題提起ができない理由は、所属事務所との契約解約はもちろん、他事務所への移籍も難しくなるためだ。事実上、夢を諦める覚悟をしなければならない」と話した。
最近、この世を去ったASTRO・ムンビンさんの悲報以降、英『ガーディアン』などの海外メディアは「K-POPスターは、10代前半の幼い年齢で芸能事務所に入り、1日を歌とダンスの厳格な練習で過ごして統制された人生を生きていく」とし、ムンビンの悲劇を「韓国アーティスト育成の問題点」と関連付けて報道した。
韓国アイドル産業の闇が引き続き牙をむくなか、再び悲劇が繰り返されないためには、より体系的で現実的な対処が必要だという声が出ている。
あるアイドルグループのマネージャーは「アイドルの育成構造は、一般人にはよく分からない閉鎖的構造なので、明らかになった被害事例よりも遥かに多いだろう」とし、「積極的な申告システムを所属事務所で自主的に作るには限界がある。国家レベルで、より強い監視体系と管理が後押しされなければならない」と見通した。
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