アルバイトをしていれば生活苦なのだろうか。数十億ウォンの借金を返すやいなや、済州島にプール付きの別荘を欲しがるのは合理的だろうか。
かつて天才子役と呼ばれた女優キム・セロンと、タレントのイ・サンミンが“貧乏コスプレ”疑惑で批判を浴びている。
昨年5月に飲酒運転事故を起こしたキム・セロンは、最近行われた初公判に出席した。彼女は裁判所に反省していることと莫大な賠償金で経済的な困難に陥っていることを強調し、善処を訴えた。
その後、弁護人が一部のメディアを通じてキム・セロンが生活苦のためアルバイト中だと表明して話題を集めた。
キム・セロンは飲酒運転事故当時、ソウル江南(カンナム)区の道路でガードレールや街路樹、変圧器などに数回衝突した。そのため変圧器が破損し、近くの商店など50カ所余りの電気供給が一時途切れた。
キム・セロンの事故当時、所属事務所であるゴールドメダリスト側は具体的な賠償額を明らかにしなかった。しかし事故現場が韓国の最も裕福といえる清潭洞(チョンダムドン)一帯ということで、商店街に支払う賠償金は莫大な金額と予測された。
ただ、2001年に子役モデルとしてデビューし、映画『アジョシ』以降、様々な作品に出演してきたキム・セロンであるだけに、「アルバイト」「生活苦」などの表現が現実的に感じられない。さらにキム・セロンが有名フランチャイズのカフェでアルバイト中の姿をSNSに掲載したことに対して、真偽の議論まで浮上した状況だ。
本人にとっては悔しい状況かもしれないが、テレビを通じてあまりにも「ヤング&リッチ」のイメージを披露してきたため、彼女に対する大衆の視線がきれいではないと見られる。
最近放送されたバラエティ番組『アラフォー息子の成長日記』に出演したイ・サンミンは、年内に70億ウォン(約7億円)に達した借金をすべて清算する予定だと明らかにした。
相次ぐ事業の失敗で69億ウォンの借金を抱えていた彼は、最後まで債務を返済するという姿勢を見せて多くの応援を受けた。莫大な借金をついに返すイ・サンミンに対して、番組出演者と視聴者のお祝いと激励があった。
しかしその後、反応が変わった。イ・サンミンが借金返済後、自分へのご褒美として済州島で家を探すと宣言したなかで、オーシャンビューのプール付きの別荘、高価なペントハウス、離れまでついた豪邸などを見て欲張ったためだ。何よりもイ・サンミンが莫大な借金を返済し、一緒に済州島に行った出演者に「いくらなのか」と手まで広げて豪華住宅を買いたい姿を見せたことで、ひんしゅくを買った。
先立ってイ・サンミンが『アラフォー息子の成長日記』で見せた借金を返済していく過程にも十分に批判があった。
イ・サンミンがファッションアイテムなどの収集欲を表わしてきたことをはじめ、放送に映った姿が“華麗”に見え、とても「70億ウォンの借金」がある人の姿には見えなかったためだ。
キム・セロンの生活苦もイ・サンミンの借金に対しても、大衆の反発を呼び起こしている。華麗なイメージがすべてのように思われる芸能界であるだけに、実体とは異なる姿でカメラの前に立たなければならないのは宿命ともいえるが、「貧しい」という話にまったく共感できないからだ。
一般的な「生活苦」と彼らの考える生活苦は、定義が違うのだろうか。
小説家のパク・ワンソが『盗まれた貧しさ』で金持ちについて、「貧しさまで盗んで彼らの多彩な人生を一層多彩にするエピソードにしたい」と話したことがある。キム・セロンとイ・サンミンの現状は、その小説の中の金持ちのような状況と同じと断ずることはできないが、多くの疑問から彼らへの同情よりも批判があふれているのが現状だ。
(記事提供=OSEN)
◇キム・セロン プロフィール
2000年7月31日生まれ。9歳から子役として活動を始め、スクリーンデビューとなった2009年公開の主演映画『冬の小鳥』では孤児院に捨てられた少女を熱演。カンヌ国際映画祭に韓国の役者史上最年少で招待された。2010年に公開された『アジョシ』ではウォンビンと共演し、大韓民国映画大賞新人女優賞を最年少で受賞した。現在は実力派女優として多方面に活躍。特に、2019年に韓国で放送されたドラマ『レバレッジ:詐欺操作団』では、凄腕の女泥棒役を見事に演じて魅力的な姿を披露した。
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