その日、ドンウンを助けたのはもしかしたら霧だった。
濃霧で一寸先も見えなかった。
湿った服の中で腕と足の胸がかゆかった。
日を間違えたと泣いて、そんな自分がかわいそうで、むしろ笑ってしまった。
そして悟った。どうして私だけ死ななければならないの？
容赦はない。
誰も天国に行くことはできないだろうが。
温室の中の草花という言葉は、おそらくヨジョンをめぐって作られた言葉かもしれない。
爽やかに笑い、時折ゆらゆらと甘い香りがした。
一生が乱暴で、外がそんなに寒いとは知らなかったヨジョンは
悪夢のような事件を経験したあと、酷い冬を耐えていた。
そして。
ドンウンの腕と足の凶を見てヨジョンは決心する。
ドンウンの王子様ではなく、刀舞を踊る暴れん坊になることに。
それで手に持ったメスを少し違うように使ってみることにする。
元の季節に合わせて、これからとても冷たくなるつもりだ。
生まれてみると世の中はもうヨンジンの味方だった。
ましてや、恐ろしい校内暴力を犯しても親の歪んだ子供への愛のおかげで
過ちを反省しようとするいかなる努力もする必要はなかった。
そのようにヨンジンは一生白夜だった。
しかし、ヨンジンは知らなかった。
白夜の間、その逆の半球では
極夜の時間を耐えなければならないということを。
極夜の時間に耐えたドンウン。
ヨンジンに向かって歩いているところだということを。
最初は私のせいだと思った。 人々もそうだと言った。
我慢すればいいと思った。
耐えればよくなると思った。 しかし、そうではなかった。
ヒョンナムは決心した。
荒波が怖い理由は
予測が難しく、波高が低くなる波なので
漣もなく、静まり返っている一瞬にしてすべてを飲み込んでしまうからだ。
どうりで、ムン・ドンウンというあの女がその方法になりそうだ。
ドヨンにとって人生は碁盤のように鮮明だった。
味方と敵軍。私の家族と他人の家族。イエスかノー。
ぼやけているものが割り込めない黒と白の世の中だった。
ところでいつからか
霧のように曇った一人の女がしきりに気になって、
とうとう太陽に沿って回る、ひまわりのようにその女を追っていた。
ドヨンは知っている。
人生でも対局でも、白よりは黒が有利だということを。
一生黒だけを取ってきたが、今ドヨンは白を握っている。
行く先々で目立ち、目につくすべての瞬間“甲”として暮らしているジェジュン。
酒か女、女か賭博、賭博か暴行で
弁護士と会う時間がとても多いですが
そのように生きても富は毎日積もっていく。
そんなジェジュンがおかしくなるほど欲しいものができた。
それはドンウンが計画した罠だということは知っているが、止めるには遅すぎた。
◇
キム・ウンスク作家の魔性の魅力をあらかじめ垣間見られるあらすじ公開し、期待を引き上げた『ザ・グローリー』は12月30日にNetflixを通じて全世界公開だ。
◇ソン・ヘギョ プロフィール
1981年11月22日生まれ。1996年にファッションモデルの選抜大会で大賞を受賞後、雑誌やCMモデルとしての活動を経て『初恋』でドラマデビューした。2000年に放送されたドラマ『秋の童話』で演じたウンソ役が大きな反響を呼び、一躍人気女優に。その後も『ホテリアー』（2001年）、『太陽の末裔』（2016年）、『ボーイフレンド』（2018年）といった日本でも人気の高いドラマ作品に出演。2017年には『太陽の末裔』で共演したソン・ジュンギと結婚したが、2019年6月、約1年8カ月の夫婦生活に終止符を打った。
