数多くあるK-POP授賞式のなかで「MAMA AWARDS」がNo.1といえる3つの理由

2022年12月02日 K-POP

これから年末年始にかけて数多くのK-POP授賞式が予定されている。

【写真】MAMA、超豪華レッドカーペット

韓国の地上波3社が行う、いわゆる“韓国3大音楽祭”の「SBS歌謡大祭典」「KBS歌謡祭」「MBC歌謡大祭典」をはじめ、「Asia Artist Awards」「Golden Disc Awards」「ソウル歌謡大賞」などが恒例だが、最も注目したいK-POP授賞式が先日幕を閉じた。

他でもなく「MAMA AWARDS」だ。この授賞式に注目すべきと感じた理由は大きく3つある。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)会場となった京セラドーム大阪はK-POPファンで埋め尽くされた

話題性・希少性・永続性まで兼ねた圧巻ステージ

1つは豪華出演者による圧巻のステージだ。パフォーマンスは当然ながら、話題性まで圧倒的だったといえる。

今年は日本の京セラドーム大阪で11月29~30日の2日間に行われたのだが、後年、“伝説のステージ”と呼ばれることになりそうなパフォーマンスがいくつもあった。

まずK-POP界に新しい旋風を巻き起こしている新人ガールズグループ5組の共演だ。初日の授賞式の中盤、IVE、LE SSERAFIM、NMIXX、Kep1er、NewJeansの5組32人がひとつのステージに上がった。

(写真提供=Mnet)5組のガールズグループが一緒にステージを繰り広げた

5組のデビュー曲5曲を異例の“ミックスメンバー”で披露した32人は、続いて全員でTWICEの『CHEER UP』を歌った。会場で直接見た率直な感想としては、あくまで新鮮さがメインのコラボ企画で“ガチ感”はそれほど高くなかったが、将来性バツグンの5組が同じステージを飾るという希少性は十二分に伝わってきた。

観客の大歓声も相まって、K-POPガールズグループが第3世代から第4世代へと世代交代する象徴的なステージにも見えた。祝祭の性格もある「MAMA AWARD」だからこそ実現したステージだろう。

初日の終盤に登場したKARAのステージも重要なハイライトだった。7年半ぶりとなる完全体カムバックの初舞台として、彼女たちが選んだのが「MAMA AWARDS」であり、その選択は正しかった。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)KARAの復活ステージ

「もう一度、ときめく準備はできましたか」と締めくくられた映像の後、名曲『ミスター』のサビ部分が流れると、会場は大歓声に包まれた。人気曲『LUPIN』『STEP』『ミスター』を堂々と歌ったKARAの5人。あの“腰振りダンス”も健在だった。そして新曲『When I Move』のステージを初披露し、会場は異様な熱気に包まれた。

そして最終日の大トリには、BTSメンバーであるJ-HOPEが登場。「I am your HOPE」と題したソロステージを初めて披露した。『MORE』『Arson』『Future』で強烈なエネルギーを発散させたJ-HOPEは、ステージだけでなく、受賞の場でも兵役に行くJINに電話をかけるなどのサプライズを演出し、会場を沸かせた。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)BTS・J-HOPEのソロステージ

今回披露されたプレミアムなステージは、後に“伝説のステージ”として長く記憶されることだろう。話題性から希少性、永続性まで兼ねた価値あるステージがMAMAの根源的な価値だ。

日本で行われた韓国の授賞式を英語で進行

素晴らしいステージと同時に、「MAMA AWARDS」は「世界に向けた意識」が他の授賞式に比べて断然だった。これが「MAMA AWARDS」が注目度No.1である理由の2つ目といえる。

授賞式初日の第一声はホストを務めたチョン・ソミだったが、彼女は韓国語でも日本語でもなく、発言のほぼすべてを英語に統一した。日本で開催されているため客席のほとんどは日本のファンが埋め尽くしており、参加アーティストは韓国人だ。その授賞式を英語で進行していくということに、会場では若干の違和感を覚えりもしたが、現場を離れて改めて考えてみると、そこにMAMAの世界を目指す意志が詰まっているように感じた。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)初日のホストを務めたチョン・ソミ

ここで、記者懇談会で語られたCJ ENM音楽コンテンツ本部長キム・ヒョンス氏の言葉が思い出される。彼は今回「MAMA」をリブランディングした理由について、「K-POPは全世界の日常になった」とし、「その意味でK-POPを代表する私たちの授賞式をアジアに限定させる必要があるのだろうかと思った。グローバルに対する挑戦、その次に進化と成長に対する意志を込めた」と語っていた。

今年から名称を変更したのも、グローバルへの意識に他ならない。そもそも1999年に韓国初の映像音楽授賞式「Mnet Music Video Daesang」として始まった「MAMA」は、2009年に「Mnet ASIAN MUSIC AWARDS」に名称を変更し、2010年からはマカオやシンガポール、香港、日本などで開催されてきた。韓国では授賞式の1人当たりの入場券の価格が制限されているともされ、韓国開催では投資金が足らないという現実的な理由もあるだろうが、もともと世界への意識が高い授賞式だったわけだ。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)歓声がひと際大きかったTOMORROW X TOGETHERのステージ

そんな授賞式が、今年から「MAMA AWARDS」と再び名称を改めた。もともと「AWARDS」という意味が含まれていた「MAMA」だが、「ASIAN」に限定しない意味と、もはや固有名詞として「MAMA」が定着していたため、わかりやすく「MAMA AWARDS」と名称を変更したとのこと。前出のキム氏は「MAMAは韓国初のアジア授賞式を超え、名実ともにワールドNo.1のK-POP授賞式“MAMA AWARDS”として新しく出発する」と宣言しており、その効果はすでに一定の成果を出しているといえるかもしれない。

初日の授賞式では、プレゼンターがグローバルファンのオンライン投票による「Worldwide Fans' Choice」の投票率について軽く触れたのだが、1位はタイ、2位はアメリカ、3位メキシコと発表された。2013年のオンライン投票の投票率(1位中国、2位韓国、3位台湾)と比べると、アジアを超えてグローバル化が進んでいることが伝わってくる結果だ。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)2日目のホストを務めたパク・ボゴム

何事も明確で高い目標を設定してこそ、大きな成功を成し遂げることができる。アジアから世界への飛躍を目指す「MAMA AWARDS」は、その第一歩を踏み出している意味でも他のK-POP授賞式と差がある。

授賞式としてのクオリティの高さ

そして「MAMA AWARDS」がK-POP授賞式でNo.1である理由の3つ目は、授賞式としてのクオリティだ。

国を問わず、授賞式は実際に現場に参加したアーティストだけが受賞できるという暗黙のルールが存在と揶揄されて久しい。その結果、ファンには納得しがたい受賞結果が続き、自らの価値を下げた授賞式も少なくないだろう。しかし「MAMA AWARDS」は「アーティストが参加するか否かを問わず、審査を進行する」(記者懇談会)という宣言を有言実行した。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)「MAMA PLATINUM」を受賞したBTS

4つの大賞のうち、3つ(アーティストオブザイヤー、アルバムオブザイヤー、ワールドワイドアイコンオブザイヤー)をBTSが受賞。メンバーのJ-HOPEこそ授賞式に参加したものの、グループで参加していないBTSが大賞の大部分を占めた。「Best Female Group(女性グループ賞)」も不参加のBLACKPINKが受賞している。

それどころか、授賞式に参加したITZYやNewJeansが何の賞も受賞できない結果となった。たとえ授賞式に参加しても賞をもらえるわけではないという事実からも、公正なプロセスで審査し、授賞式としてのクオリティを高めようとする主催者側の意思が伝わってくる。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)大賞のひとつである「Song of the year」に輝いたIVE

また実際に会場では、不在アーティストの名前が呼ばれたときも、大きな拍手がわき上がり、お祝いする雰囲気が途切れる感じはしなかった。ビデオメッセージでの出演やすぐに派手なステージに切り替えるなどの工夫も万全で、受賞者不在の空白をうまく埋めていた。

グローバルファン投票も公正性を確保するために、投票データをリアルタイムで公開し、投票終了後も全体データを分析して検証して最終集計を進行するなど、多様なシステムを段階別に適用。すべての投票集計と結果算出の過程は、アカデミー賞の投票管理を行ったPwCのメンバーファームであるサミルPwCを通じて、透明性と公正性を検証してもらう徹底ぶりだった。

(写真提供=「2022 MAMA AWARDS」)「Favorite New Artist」を受賞したLE SSERAFIM

韓国では数年前にアイドルグループをデビューさせるオーディション番組でファン投票の“不正操作”が行われていたことが明らかになったことで、投票の公正さに対する視線がさらに厳しくなっている。だからこそ「正しい投票文化づくり」を目指すMAMAの厳格な態度は、授賞式としての高いクオリティを担保する役割を果たしており、目立たないところだが評価されるべき題目だろう。

以上の3つの理由から「MAMA AWARDS」が最も注目に値するK-POP授賞式と考えられる。年末年始に行われるK-POP授賞式を楽しむひとつの尺度として、今回の「MAMA AWARDS」の結果を参考してみるのもいいかもしれない。

(文=呉 承鎬)

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