馬を無理やり転倒させて落馬シーンを撮影し、その馬を死亡させたドラマ『太宗イ・バンウォン』(原題)と関連して、韓国政府が問題解決に乗り出した。
1月25日、韓国農林畜産食品部(「部」は日本の「省」に相当)は、映画やドラマ、広告などの撮影に出演する動物に対する保護・福祉向上対策を設けると明らかにした。
農林畜産食品部はまず、番組制作陣が出演動物を保護するために、撮影現場で守るべきガイドラインから作成する計画だ。
そのガイドラインには、基本原則、撮影時の遵守事項、動物の種類別注意事項などが込められると見られている。基本原則は「生きている動物の生命権を尊重し、道具として扱い、危害を与えてはならない」という内容だという。
またガイドラインを確定するために、映像・メディア業者と動物行動専門家などで構成された民官協議体も設ける予定だ。
農林畜産食品部が今回乗り出したのは、KBSのドラマ『太宗イ・バンウォン』で落馬シーンを撮影しながら、馬が死亡する事故が起きたからだ。とある動物愛護団体はその実態を告発し、1月21日に放送局を動物虐待の容疑で告発した。
韓国大統領府ホームページに設置された国民請願コーナーには、同ドラマの放送中止と処罰を望む請願が出された。なかでも「放送撮影のために安全と生存を脅かされる動物の対策が必要です」という国民請願には、1月24日12時現在、13万6000人以上の賛同が集まった。韓国の国民請願は、30日以内に20万人以上が賛同すれば、政府関係者の公式回答を聞くことができる。
KBSは1月20日の謝罪文に続き、1月24日にも立場を発表し、「最近、大河ドラマ『太宗イ・バンウォン』撮影過程で不幸な事故が発生した。KBSはドラマ撮影に投入された動物の生命を保護できなかった責任を痛感し、視聴者の皆さんと国民にもう一度深く謝罪する」と伝えた。
なおドラマ『太宗イ・バンウォン』側は1月22日と23日の放送を取りやめ、また1月29日と30日の放送も中断すると発表している。新たなガイドラインがいち早く設けられ、不幸な事故が二度と起きないことを願うばかりだ。
■ワイヤーで足を縛り転倒させて落馬シーンを撮影、馬は死亡…“動物虐待”の韓国ドラマ側に非難殺到
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