映画『ミナリ』と銀熊賞受賞のホン・サンス監督、低迷気味の映画界にとって“恵みの雨”

2021年03月08日 映画

映画『ミナリ』とホン・サンス監督の快挙が、低迷している映画界にとって恵みの雨になっている。

【関連】『ミナリ』が「ゴールデングローブ賞」外国語映画賞の快挙

コロナ禍の中、韓国の映画業界は公開を延期したり、NetflixなどOTT(動画配信サービス)で配信する方向へと旋回し、新たな活路を見出した。

そんな中、サンダンス映画祭の審査員大賞を皮切りに、第78回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞まで総なめにし、オスカーの有力作に挙がった『ミナリ』が、映画ファンを映画館に呼び戻している。

3月6日、全国の映画館の観客数は22万人(映画館入場券統合ネットワーク調べ)に伸びた。1日の観客数が20万人を超えたのは、昨年11月15日以来、111日ぶりとなる。

韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン(韓国名チョン・イサク)監督が演出した同作は、1980年代に希望を求めて“見知らぬ地”アメリカに渡った韓国人家族の特別なストーリーを描いている。アメリカに初めて根を下ろした親世代と子供世代を家族愛で結び付ける感動的な映画と評価されている。

映画『ミナリ』韓国版メインポスター

一方、今月5日に閉幕した「第71回ベルリン国際映画祭」で脚本賞を受賞したホン・サンス監督の新作『イントロダクション』(原題)も、映画業界に良い風を吹き込んだ。

2017年の『夜の海辺で一人』で主演女優キム・ミニが主演女優賞を受賞し、昨年の『逃げた女』(原題)で監督賞を受賞したことに続き、ホン監督映画にとって3度目の銀熊賞だ。

ただ、ホン・サンス監督は、キム・ミニとの不倫騒動が国内で大きな障害となっており、依然として冷ややかな視線を避けられない状況だ。ある側近は「このような状況を最初から承知の上で始めたため、世間の視線が大きな負担にはならない。だからこそ地道な作品活動を通してさまざまなメッセージを伝えている」と説明した。

『ミナリ』と『イントロダクション』が映画界を完璧に盛り上げることはできないが、このような動きが集まって新たな希望と未来を見通せるほどの原動力になっているのは確かだ。

映画関係者は言う。

「現在、全世界の映画界は新たな実験台の上にある。OTTが異質的なものではなく、大衆的なものとして受け入れられている世の中だ。良いコンテンツは良い結果をもたらすという不変の法則と共に、多様な試みができる時期のようだ。そんな中で輝いた『ミナリ』とホン・サンス監督の作品があるから、韓国映画はさらに発展するという期待を抱ける」

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