世界的アーティストとK-POPのコラボが熱を帯びている。
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それは、2024年下半期最大のヒット曲がブルーノ・マーズ×ロゼ(BLACKPINK)の『APT.』であることからも伺えるだろう。
韓米の大スターが手を組み、韓国の飲み会ゲームから着想した同曲は、6週間連続で米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」で上位圏を維持。MVはユーチューブでの再生回数が5億を突破し、K-POPアーティストの最短記録も塗り替えている。
ただ、K-POPアーティストと大物アーティストのコラボは『APT.』だけではない。TWICEはグラミー賞ミュージシャンのミーガン・ジー・スタリオンやラウヴとのコラボ楽曲をリリースしたほか、来年4月にはイギリスのMONSTERバンド、コールドプレイの韓国公演にスペシャルゲストとして出演することが決まっている。
そしてSEVENTEENは10月に発売した12thミニアルバム『SPILL THE FEELS』に収録された『LOVE, MONEY, FAME』で、有名プロデューサーのDJキャレドとコラボ。その縁もあり、DJキャレドは自身のコンサートにウジ、ミンギュ、バーノンを招待している。
遡って今年5月には、Stray Kidsがチャーリー・プースとコラボした『Lose My Breath』がヒット。同曲はグループのプロデュースチーム3RACHAのバンチャン、チャンビン、ハンが、チャーリー・プースと作詞・作曲・編曲している。Stray Kidsは2023年の『LALALALA』以来、2度目となる「ホット100」チャートインを果たした。
また12月4、5日に6年ぶりの韓国公演を開催したデュア・アリパも、BLACKPINK、ファサ(MAMAMOO)と協業したことがある。今回の訪韓を控えて行われたインタビューで彼女は、BLACKPINK、LE SSERAFIMと楽曲制作をしたいと語っていた。
このように、K-POPアイドルと海外の有名アーティストたちが盛んにコラボするようになっているわけだが、その出発点はBTSだ。
ジャスティン・ビーバー、ホールジー、スティーヴ・アオキなど、錚々たるビッグネームとの協業で知られるBTSだが、コールドプレイとは『My Universe』、そしてJINの初ソロシングル『The Astronaut』にも参加するなど、より一層深く関わっている。
またBTSのなかでもJUNG KOOKは、チャーリー・プース(『Left and Right』)、エド・シーラン(『Yes or No』、ラット(『Seven』)、ジャック・ハーロウ(『3D』)、DJスネーク(『Please Don't Change』)、メジャー・レイザー(『Closer to You』)など、特に協業歴が多い。
しかし、なぜこんなにもK-POPアーティストとのコラボが増えているのか。
ある韓国の音楽系事務所関係者は「『ビルボード・ミュージック・アワード(BBMAs)』など、アメリカの授賞式ではK-POP部門が新設されている。ポップスの発祥地であるアメリカとイギリスなどで、K-POPに対する認識が大きく変化している」として、「また、K-POPは中東、東南アジアなどにも多くのファンを抱えているので、(海外の)ポップスターたちもK-POPアーティストとのコラボに前向きで、先にラブコールを送ってくるケースも増えている」と説明する。
それだけでなく、米3大レコード会社であるユニバーサルミュージックグループ、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナーミュージック・グループとの緊密な協業が、このようなムーブメントの大きな役割を担っているのだ。
実際、ロゼはワーナー傘下のアトランティック・レコードと契約を結び、世界を視野に入れたソロ活動を展開。ブルーノ・マーズとの『APT.』もこれを機に始まった。アトランティック・レコードにはブルーノ・マーズ、コールドプレイ、エド・シーランなどが所属している。
ロゼ以外にも、HYBEはゲフィン・レコード、JYPエンターテインメントはリパブリック・レコード、SMエンターテインメントはガンマと手を組んだ。特に、HYBEは2021年にジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデの所属事務所イサカ・ホールディングスを買収して以降、北米市場で成果を収めている。
業界でも、アメリカのレコード会社とプロダクション方式を共有しながら、一度限りの協業にとどまらず、継続させることでK-POPの海外における認知度と視野を広げることができるだろうと、前向きに展望している。
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