韓国プロ野球の始球式に登場したK-POP男性アイドルが、マウンド上で「“不必要なダンス”をした」として物議を醸している。
投手にとってマウンドは“始発点”だ。左腕投手であれ右腕投手であれ、必ず両足を地面に一度ずつ踏み込んでボールを投げる。
一つひとつのピッチングが試合内容に大きくかかわるだけに、グラウンドキーパーも整備には特別に気を使う。始球式も同じだ。極力、先発投手の投球の邪魔にならないようにするのが“暗黙の了解”と言える。
しかし、一人のアイドルがその慣例を破ってしまった。批判を受けているのはボーイズグループWINNER(ウィナー)でラッパーを務めるイ・スンフン(32)だ。
イ・スンフンは8月28日、釜山(プサン)の社稷(サジク)野球場で行われたハンファ・イーグルス対ロッテ・ジャイアンツの試合で始球式に登場した。彼は「ロッテの“ウィナー”が来た。勝利、ジャイアンツ叫んで!僕がWINNERの勝利の気運をどんどん入れていく」と観客にコメントを伝えた。
ここまでは良かったが、問題はその後だった。
イ・スンフンはマウンド上で投球動作に入ったかと思えば、投げるふりをして突如ダンスを始めたのだ。彼は「18秒間」もマウンド上で踊り、ようやくボールを投げた。
度が過ぎた行為だ。もちろん、過去にも始球式でさまざまなパフォーマンスを披露した芸能人は多く、なかには理解できない行為もあった。
ただ、「ダンス」はやりすぎと言える。スンフンは激しいブレイクダンスでマウンドの土を踏んだ。投手がピッチングをするうえで重要な役割を果たさなければならない土だ。そのため、「これはちょっと違う」と指摘が上がったわけだ。
何より、ボールを投げるふりをした行為は、捕手ソン・ソンビンをもてあそんでいるように見えた。「野球をけなしている」とも感じたほどだ。
韓国の野球ファンが怒ったのもそこだった。彼らは「マナーが悪い」と指摘した。ワインドアップの体勢を2度も取ったにもかかわらず、ボールを投げなかった。
結局、3回目の構えで投げたボールはバウンドし、ミットを構えた捕手の後ろに逸れた。直後に試合を控えた捕手が、ボールを渡すために走って取りに行くしかなかった。これが「18秒間」の出来事だ。
プロ野球が秋のポストシーズンを控えた敏感な時期ということを考慮すれば、してはならない行為だった。
野球は特にメンタルスポーツだ。始球式を務めるのであれば、多少選手たちへの気遣いも必要だろう。その一線を越えたことに対する批判だ。
韓国プロ野球は今季、年間入場者数が初めて900万人を突破した。
それだけ1試合1試合の注目度も高いが、当のイ・スンフンはまだ事態の深刻さを理解していないようだ。
イ・スンフンは自身のインスタグラムに「First pitch」と綴り、始球式で見せたダンスの動画を投稿した。公開から約2日が経過したが、現在も投稿は残っている。
コメント欄には、野球ファンとみられるユーザーからの批判の書き込みが相次いでいる。「始球式を何だと思っているのか」という声まで出ている。WINNERのファンとみられるユーザーからは「こんな始球式はなかった」と褒めるコメントもあったが、野球ファンの立場では、イ・スンフンの行為は「度が過ぎた」としか見られなかった。
イ・スンフンとしては、素晴らしいパフォーマンスを披露したことだろう。ただ、場所や周囲の状況に応じて身をわきまえることも重要だ。すでに数日経過した時点ではあるが、今からでも簡単な謝罪は必要と言える。
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