セーヌ川はパリの心臓であり、来る7月26日に開幕するパリ五輪の中心地だ。
今回、パリ五輪の開会式は史上初めてスタジアムではなく“川”で開催されるが、その場所がまさにセーヌ川だ。開会式を終えると、セーヌ川ではトライアスロンとマラソンスイミングの2競技が行われる。
問題は、セーヌ川が100年間“遊泳禁止”とされてきた水質汚染が深刻な川である点だ。セーヌ川は1923年から遊泳が禁止され、五輪目前の7月初旬にも川の一部区域で許容水準を超える大腸菌が検出された。
ただ、主催側の視線は違うようだ。パリ市長自ら水質改善をアピールしている。アンヌ・イダルゴ市長は最近、セーヌ川に飛び込んで遊泳する姿を公開した。
これに現地メディア『ジ・アスレチック』は「イダルゴ市長がセーヌ川に入水した。セーヌ川が綺麗であることを証明する様子だ」と報じた。イダルゴ市長も「夢のようなことが現実になった。五輪が終わればセーヌ川にプールを作り、パリ市民と観光客のために開放する」と明らかにした。
それだけ徹底的に準備したというパリ市の自信を表現したわけだ。パリは五輪に先立ち、セーヌ川の水質改善のため約15億ユーロ(日本円=約2565億円)を投資した。
ただ、水質汚染の程度は時期によって大きく異なる。一時は基準値を下回る時期もあったが、五輪の期間もこの数値を維持されるかどうかは断言できない。
水質汚染がひどい場合は、水を介して下痢や尿路感染症、肺炎、敗血症などを引き起こすケースもある。健康が保障されなければならない五輪で、健康の赤信号が灯される可能性がある。
トライアスロンは7月末から8月初旬まで開かれる。パリ五輪の主催側によると、同期間でセーヌ川の水質汚染が汚染数値が高く測定された場合は水泳競技を中止とし、自転車とランのみで構成した「デュアスロン」で進行するという。
マラソンスイミングの場合は、競技会場をセーヌ川ではなくカヌー競技と同じ場所に変更するとのことだ。ちなみに、韓国からトライアスロン、マラソンスイミングの両競技に出場する選手はいない。
最良のシナリオは、水質汚染の程度を最低限に保ちつつ、開会式から各競技まで予定通りセーヌ川を利用することだ。
しかし、そのためには“天の助け”が必要に見える。自然が川の使用を許してこそ、100年ぶりに「セーヌ川復活」を叫ぶことができるはずだ。
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