本人もここまで長くプレーすると予想できただろうか。
テキサス・レンジャーズのチュ・シンス(37)は、2013年12月27日に結んだ7年総額1億3000万ドルの契約終了を前に、今の心境と契約終了後の考えを明かした。
彼が成し遂げたことは誰にでもできることではない。時計の針を2013年の冬に戻してみるとそれが良くわかる。
当時、チュ・シンスはFA(フリーエージェント)資格を得てレンジャーズと契約した。しかし、同時期のFA選手で現在までユニホームを着ている選手はごく少数だ。
シアトル・マリナーズと2億4000万ドルの契約を締結したロビンソン・カノは、2018年12月1日の大型トレードでニューヨーク・メッツへと移籍した。
当時のFA市場でチュ・シンスと比較されたジャコビー・エルスベリーは、ニューヨーク・ヤンキースと7年総額1億5300万ドルで契約を結んだ。しかし、加入後は相次ぐ負傷に悩まされた挙句、2019年11月20日に契約解除となった。
2013年冬にFA契約を結び、現在まで同じ球団のユニホームを着ている選手は、チュ・シンスと田中将大の2人のみだ(田中は2014年1月22日にニューヨーク・ヤンキースと7年総額1億5500万ドルで契約)。
また、チュ・シンスはレンジャーズ加入後から2017シーズン途中まで、現在シカゴ・カブス所属のダルビッシュ有(33)とともにプレーした経験もある。
レンジャーズはチュ・シンスとの契約当時、彼のロングランを期待していなかったことだろう。
巨額を投じたジョン・ダニエルズGM(ゼネラルマネージャー)は、当時チームの弱点だった1番打者にチュ・シンスを配置した。
ワールドシリーズ優勝に届かなかったとはいえ、レンジャーズは2015年と2016年に2年連続地区優勝を達成した。チュ・シンスは2015年後半にOPS(出塁率+長打率)1.016という脅威の実力も発揮した。
2016年は負傷に苦しんだが、2017年以降は毎年145試合以上を消化する健在ぶりだ。
特に、2018年にはメジャーリーグ現役最多の52試合連続出塁も達成し、オールスターに選出された。昨年は個人通算1シーズン最多ホームラン(24本)を記録するなど、依然としてトップレベルを維持している。
テキサス地域メディアもチュ・シンスの非凡さに注目している。『ザ・フォート・ワース・スター・テレグラム』は「今年もレンジャーズの1番打者はチュ・シンスだ」と報じると、次のように伝えた。
「チュ・シンスはレンジャーズで過ごした6年間で出塁率0.365を記録した。そして、昨年はOPSが0.826と過去6年間で2番目に高い数字を出した。3年連続20本塁打も続いている。クリス・ウッドウォード監督も彼のプロ意識と勤勉さ、謙遜さ、そして毎打席で見せる情熱に感動している」
このような状況にも、チュ・シンスは謙遜した姿を見せる。
チュ・シンスは同メディアのインタビューで「僕は相変わらず野球を愛している。今も高いレベルのプレーを披露できて幸せだと思っている。メジャーリーグでユニホームを着て、自分の望む背番号を付けている。自分の名前がユニホームに記されているのは特別なことだ。一瞬一瞬が僕にとっては幸運であり、本当に特別なことをしていると感じている」と話した。
また、レンジャーズとの契約終了が迫っているとの質問に対しては、「家族と話し合いを続けている。明らかなのは、2~3年後も今と同じレベルの野球を披露できる自信があるということだ」と語った。
年齢による衰えを感じさせないチュ・シンス。今シーズンも期待したい。
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