横浜F・マリノスの元韓国代表MFナム・テヒ(32)が、ホームでのACL決勝第1戦先勝を振り返った。
ナム・テヒは5月11日、横浜国際総合競技場で行われたアル・アインとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第1戦で先発出場。後半32分にMF榊原彗悟(23)と交代するまでプレーした。
試合ではアル・アインの同郷MFパク・ヨンウ(30)のマークに受けながらも、持ち前のボールテクニックでチャンス創出に尽力。前半アディショナルタイムに迎えたペナルティエリア内での最大の決定機は惜しくも枠を外れたものの、チームの2-1の勝利を支えた。
アル・アイン率いるエルナン・クレスポ監督には横浜FM移籍前のアル・ドゥハイル時代に指導を受けた経験があるだけに、「相手がどのような戦術で出てくるかは予想していました」と、パク・ヨンウの“徹底マーク”も想定していたというナム・テヒ。
ただ、「最初の失点が少し惜しく、自分たちのミスから得点を許してしまったので、結果的に苦しい立ち上がりになったのではないかと思います」と序盤の失点を悔いた。
その一方で、後半に貴重な同点弾を決めたMF植中朝日(22)については「まだ若い年齢ですが、特に今シーズン新監督(ハリー・キューウェル氏)が来てから、自分の実力をより思う存分発揮している」とし、「マリノスのスカッドは他チームと比べて十分あると思います。今はリーグ戦とACLでローテーションをしながら試合を戦っていますが、そのなかで植中選手は良くやっていると思います」と、中盤でインサイドハーフのコンビを組んだ若手を称賛した。
アル・ドゥハイル(前レフウィヤ)、アル・サッドに在籍したカタール時代含め今大会が自身通算12回目のACLとなるナム・テヒだが、決勝の舞台は初めて。過去には準決勝で2度敗退の苦汁をなめてきたが、ホームで先勝し“アジア制覇”目前というところまできた。
「自分はカタール時代に毎年ACLに出ていましたが、準決勝で2度脱落しました。前回の蔚山戦も前半序盤は自分たちが上手く戦ったにもかかわらず、数的不利となってから苦しい展開となり、(ベンチに下がって以降は)ハラハラしながら試合を見守っていましたが、やっとの思いで勝ち上がることができました。だからこそ、第2戦でも勝利するためにしっかり準備をしなければなりません」
来る26日(日本時間)の第2戦はアル・アインのホームでの試合となる。中東でのアウェイゲームとあってより厳しい戦いが予想されるが、そこで頼りになるのがナム・テヒの中東経験だろう。
実際、ナム・テヒはアル・アインと過去3大会で対戦経験がある。
アル・ドゥハイル(前レフウィヤ)時代の2014年はグループステージで対戦し2戦2敗だったが、2018年には準々決勝で激突し、アル・アインのホームで1ゴール1アシストを記録(アル・ドゥハイルが2戦合計8-3で勝利)。アル・サッド時代の2020年もGSで対戦し、やはりアル・アインのホームで2アシストの活躍を披露している(試合は3-3引き分け)。
「自分の経験上、アル・アインは施設がとても良いですが、5月末なのでかなり暑い天候になります。ただ、チームメイトは体の管理が上手なので、ACLでの経験こそあまりないとはいえ、それほど不便や困難を感じることはない。いつも通りに準備すればよいと思います」
そう伝えたナム・テヒは、「(アル・アインとは)良い記憶もありますし、良くない記憶もあります。まずは“自分たちのサッカー”をするためにしっかり準備ができれば、良い結果に繋がると思います」と強調した。
ちなみに、ナム・テヒは試合後、クレスポ監督に“韓国代表ユニホーム”をプレゼントしたという。
「アル・ドゥハイルで一緒にいたときからユニホームが欲しい旨を伝えられていて。監督がコレクションをしているとのことでお願いされたので、ちょうど今回の機会に渡しました」と明かしたナム・テヒは、「監督は口数が少ない方ですが、コーチ陣が(アル・ドゥハイル時代と)同じ方々がいて。コーチたちとは親しいので、話をしたり冗談を交わしたりしました」と、束の間の再会を微笑みながら振り返っていた。
今後、15日のアルビレックス新潟戦、19日のFC東京戦とアウェイ2連戦を経てUAE遠征に臨む横浜FM。タイトな日程下でアジア王者を決める最後の戦いを迎えるが、ナム・テヒにとっては自身の経験を十二分に発揮する場となるはずだ。
(取材・文=姜 亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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