メジャーリーグ(MLB)の「韓日新人王争い」が本格的に幕を開けた。
同時期にMLB入りを果たした1998年生まれ同士のイ・ジョンフ(25、サンフランシスコ・ジャイアンツ)と山本由伸(25、ロサンゼルス・ドジャース)が開幕直後から活躍を披露し、現地ファンの注目を集めている。
出発が良いのはイ・ジョンフの方だ。
イ・ジョンフは3月31日(日本時間)、敵地ペトコ・パークで行われたサンディエゴ・パドレス戦で8回表にメジャー初本塁打を放った。
相手投手が内角に投じた125kmのスイーパーを捉え、飛距離123m、打球速度168kmに達するアーチを描いた。
同日の試合でグランドスラム(満塁本塁打)を生み出したマイケル・コンフォート(31)でさえ、イ・ジョンフを称賛した。「素晴らしい選手だ。打席での目つきや投球に集中する能力など、その姿を見るのが好きだ」と彼は語った。
海外メディアは、イ・ジョンフのコンタクト能力が量産する“バレル打球”に関心を示している。バレル打球とは、発射角26~30度、打球速度98マイル(約157.7km)以上の理想的な打球を意味する。
『ジ・アスレチック』は「イ・ジョンフが打った6つの打球速度は100マイル(約160km)を越えた」とし、「最も強く打った球は108.9マイル(約175km)まで達した」と伝えた。
そして、「イ・ジョンフのスイングが変わった。オープン戦でメジャー投手の投球に適応し、進化した」と評価した。
イ・ジョンフはポスティングでMLNに進出したアジア人打者において最高の待遇を受けた。その金額6年1億1300万ドル(日本円=約160億円)だ。1億ドル以上はイ・ジョンフしかいない。
まだ数試合しか行っていないにもかかわらず、初本塁打やコンタクト能力など、あらゆる打撃能力が評価されている。
一方の山本も、12年3億2500万ドル(約465億円)というメジャー投手史上最高額の契約でドジャースに加入した。
だが、始まりがよくなかった。彼はソウル開催の開幕戦で悪夢のようなデビュー戦を行った。
当時、3月21日に高尺(コチョク)スカイドームで行われたパドレスとの開幕第2戦で先発登板した山本は、初回だけで43球を投じ、4被安打、5失点を喫した。
降板直後、「とても悔しい」とやけになったような感想を伝えた山本だが、アメリカに戻ってからはすぐに自分の球威を回復した。
実際、3月31日のセントルイス・カージナルス戦で先発登板した山本は5回2被安打、5奪三振の無失点だった。
変化球が生き返った。カーブやカットボール、スプリットを混ぜて投げ、相手打線を封じ込めた。最速は155kmだった。
結局、チームは敗れたものの、復活した山本の球威に安堵した。デーブ・ロバーツ監督も「驚くことではない。明らかなことは、彼がポジティブな信号を送ってくれたという点」と評価した。
地元メディアの間では、山本の方が新人王を受賞する確率は高いとされている。
『MLB.com』は「彼の球威と日本での記録を見れば、有力な新人王候補だ」と言及。特に、日本プロ野球(NPB)のサイ・ヤング賞に当たる「沢村賞」とパ・リーグMVPを3回連続受賞したという点を高く評価した。
とはいえ、イ・ジョンフはこのような周囲の評価も十分覆すことができる。
デビュー3試合目で本塁打を放ち、リードオフマンが備えるべき出塁も着実にこなしている。 OPS(出塁率+長打率)0.868ととても優秀な成績だ。
このまま負傷なく結果を出し続ければ、評価が変わる可能性は十分にあり得る。
なお、そんなイ・ジョンフが所属するジャイアンツと、山本や大谷翔平(29)ら擁するドジャースは、4月2日よりドジャー・スタジアムで3連戦を戦う予定だ。
◇イ・ジョンフ プロフィール
1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。サンフランシスコ・ジャイアンツ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023年12月13日、米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドルで契約した。愛称は「韓国のイチロー」。
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