仁川の強化担当務める元大宮イ・チョンス、2020年シーズンへの決意語る「残留王は返上」

かつて2010年、2011年シーズンに大宮アルディージャでプレーした経歴を持つ元韓国代表MFイ・チョンス(38)は、元横浜F・マリノスのユ・サンチョル監督率いる仁川ユナイテッドFCで戦力強化室長を務めている。

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そんな彼の頭には、ここ数カ月の間で明らかに白髪が増えたように見える。

2019年、イ・チョンスは例年ににない忙しさのなかで年末を過ごした。クラブの“2020年構想”に余念がないからだ。業務量も多く、家に帰れないときもあるほど慌ただしく活動していた。白髪が増えるのも当然だろう。

イ・チョンス

選手たちには12月にオフが与えられているが、戦力強化室長のイ・チョンスは補強のために休む暇もない。プレッシャーののしかかる残留争いを繰り広げた2019年シーズンを終えて休む間もなく、新シーズンに向けた業務を進めなければならない。

イ・チョンスは「今が最も重要な時期だ。家族には申し訳ない思いもあるが、仕事に集中している」と笑みを浮かべた。

イ・チョンスの務める“戦力強化室長”とは?

戦力強化室長の主な業務は選手のスカウトだが、それがすべてではない。ユースチームの管理やコーチングスタッフとのコミュニケーション、事務局との行政など大小さまざまな仕事をこなさなければならないのだ。

イ・チョンスは「かつて欧州でプレーしていた頃を振り返ると、入団したときは監督とは最後の最後に会った記憶がある。交渉やミーティングなどは、普通テクニカルディレクターが行うものだが、私の仕事は事実上その役割だ」と話した。

また、「ただ選手を獲得すれば良いのではなく、チーム全体のカラーや方向性を定めなければならない。監督が変わったときでもチームの哲学を維持できれば、それは良いチームといえる。その道筋を作るのが私の仕事だ。とても責任のあるポストだ」と自身の役割の重要さを語った。

劇的残留を決めた2019年シーズンのKリーグ最終節の試合後、選手をたたえるイ・チョンス

イ・チョンスはここ最近、ユースチームの競争力強化に神経を使っている。

「中学校のチームである光星中をより良いチームに作り上げるのが、今私がすべき最も重要な仕事だ。調べてみると、光星中から大建高校(U-18ユースチーム)に進学する比率は1/3に過ぎず、その比率を高めなければならない。高校になると企業クラブと競うには厳しくなるため、我々は中学校のアップグレードに焦点を当てた」と述べた。

「仁川が1部でも十分に戦える戦力を…」

イ・チョンスは2019年1月9日に仁川ユナイテッドFCの事務局に入った。当時は比較的遅い事務局入りだったにもかかわらず、ムン・チャンジン(26)やイ・ジェソン(30)など実績のある選手を獲得し、その積極性が韓国内で話題を呼んだ。

イ・チョンス本人は「期待を持って獲得したが、怪我が大きく響いた。シーズン前半は我々のイメージしていたベストイレブンを一度も組めなかった。前監督もそこに苦しんでいた。悔しさの残る部分だ」と、苦しんだシーズンを振り返った。

しかし、2020年は一味違う。イ・チョンスは1シーズンの間、注視してきた選手を指名し、獲得候補を並べた。2019年シーズンよりも事前にチームを作り上げられる環境にある。

クラブの都合上、金額の高い選手を連れてくるのは難しいが、実力や実績を持った選手の獲得で戦力補強を図る。

「私は1シーズンかけて、このクラブに必要な選手のリストを作った。他のチームで主力として活躍できていないが、可能性を秘めた選手をここに連れてきたい。仁川が1部でも十分に戦える戦力を整えたい」と、覚悟を述べた。

仁川サポーターの気がかりは、モンテネグロ代表FWステファン・ムゴシャ(27)の去就だろう。仁川のストライカーとして、2019年シーズンに32試合14得点を記録したムゴシャは複数のクラブから関心を寄せられており、移籍の噂が後を絶たない。

ステファン・ムゴシャ

仁川はムゴシャをはじめ、ランレ・ケヒンデ(25)、ラシド・マハジ(27)、ゴルダン・ブノザ(31)ら外国人選手4人を残留させる計画だ。

イ・チョンスは「ムゴシャは移籍させないと決めた。ここに来て彼を移籍させてしまえばチームに動揺を与えてしまう。この時期にチームで最も優れた選手を放出するのは不可能なことだ。同じKリーグのクラブには特に売却したくない」と、ムゴシャの移籍説をシャットアウトした。

続けて「ムゴシャは仁川を好んでいる。チームへの愛や忠誠心が高い。合宿予定地のタイで合流する」と付け加えた。

「ドラマは見せたくない」“残留王”の別名返上へ

仁川は“残留王”という別名を持つことでも有名だ。毎シーズン降格圏で争いながら、最終的には1部に生き残るそのしぶとさから、その名で呼ばれている。

しかし、仁川からすればうれしくはない別名だろう。いつも降格の危機を持つチームというレッテルが貼られているのと同然だからだ。

その考えはイ・チョンスも同じで、「残留王という別名は好きではない。これ以上ドラマを見せたくない」と話す。

仁川ユナイテッドFC

「2020年シーズンではサポーターが心配することなく、秋を迎えられたら良いだろう。選手たちにも、来季は終盤ではなく開幕から全力で臨んでもらいたい。ファイナルラウンドに突入する時点で降格圏を避け、もっと上で戦いたい」と、早期の残留確定を誓った。

そして「より高い目標を立てることも可能だが、それがどれだけ大変なのかは2019年シーズンで実感した。現実的にシーズンをこなしていく」と、来季の目標を語った。

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