まさに「牛耳読経」、「馬の耳に念仏」だ。
サッカー韓国代表を率いるユルゲン・クリンスマン監督は、依然としてなぜ自分が悪口を言われているのかわからない様子だ。
イギリス現地で韓国メディアとのインタビューを実施したクリンスマン監督の発言を総合すると、8月のオンライン記者会見で明かした意見を何ら違いはない。
簡単に言えば、「現状で問題ない」という結論だ。未だに問題意識を感じていないようにしか見えない。
クリンスマン監督は「やることのないソウルに滞在するよりは、ロンドンやキム・ミンジェのいるミュンヘンに行った方が良い」と話した。
非合理的な選択だ。DFキム・ミンジェ(26、バイエルン・ミュンヘン)やFWソン・フンミン(31、トッテナム)のコンディションが多少良くないからと言って、クリンスマン監督が彼らを代表に呼ばない可能性は「0%」と言って良いだろう。
負傷で招集が確実に難しいケースを除けば、欧州組の主力選出に反対する人物はほとんどいないはずだ。
キム・ミンジェやソン・フンミン以外にも、MFイ・ガンイン(22、パリ・サンジェルマン)、MFイ・ジェソン(31、マインツ)、MFファン・インボム(26、ツルヴェナ・ズヴェズダ)、FWファン・ヒチャン(27、ウォルヴァーハンプトン)、FWチョ・ギュソン(25、ミッティラン)などの欧州組は、例え所属チームで不調だとしても、選ばなければむしろ疑問符を提起する人の方が多いだろう。
要するに、チームの戦力で大きな比重を占める欧州組に関しては、あえて綿密にチェックしなくても良いという意味だ。
いずれにしても彼らは中核を担う選手たちなだけに、選ばない方がおかしい。であれば、欧州に進出したばかりの有望株や代表に選ばれていない選手を視察するという主張の方がまだ説得力がある。
何より、韓国代表の監督がKリーグをチェックしなければならない理由は明確にある。それは、代表メンバーの半数程度が国内組で構成されるからだ。
実際、今回の招集メンバーを見ても25人中11人が国内組だ。特に中盤以降、DFラインに限っては大多数がKリーガーだ。
キム・ミンジェを除けば、4バックにおいて残る3枚はKリーガー、あるいはアジアでプレーする選手で埋めなければならないのが現実だ。
昨年のカタールW杯で韓国代表のベスト16進出に貢献したDFキム・ヨングォン(33、蔚山現代)やDFキム・ジンス(31、全北現代モータース)はもちろん、現在はカタールのアル・ドゥハイルに所属するDFキム・ムンファン(28)も当時は全北現代(チョンブク・ヒョンデ)に在籍していた。
代表監督として、メンバー選考のためにもKリーグの試合を自らチェックし、必要な選手を選抜せよという意味だ。
カタールW杯まで韓国代表を率いたパウロ・ベント前監督(現UAE代表監督)は、意味もなく毎週のようにKリーグの試合を現地視察していたわけではない。
ベント監督体制のコーチ陣は、大まかに70人程度の候補を挙げたうえで、入念な管理を経てメンバーを最終決定した。それだけ密度の高い構成を組んだわけだ。招集する選手を一人も無駄にしないために、多くの時間を費やしたのだ。
クリンスマン監督は「世の中は変わった」とし、自身の業務遂行方式の正当さを主張し続けているが、まともに結果も残せていない人物が堂々と言うべき言葉ではない。
今年6月の代表戦では初招集のDFアン・ヒョンボム(28、全北現代モータース)をまともに活用できず、直近のウェールズ戦でも守備的MFのイ・スンミン(29、光州FC)を攻撃的に起用し、Kリーグに詳しい関係者たちに疑問を与えた。
イ・スンミンは本来、基本的に4バックの前にポジションを取り、守備陣の一列前で相手の攻撃を防ぐ能力が高い選手だ。
自ら得点を決めることもあるとはいえ、通常はボランチの役割をこなす選手である。ただ、ウェールズ戦ではほとんど攻撃的MFのようにプレーしていた。本当に選手の特性と長所をしっかり理解しているのか、クリンスマン監督本人に問いたいところだ。
欧州組を高く評価すること自体はそれほどおかしい判断ではないが、チームは先発出場する11人、あるいは交代枠含めた16人ではなく、全体含めて25~26人程度で構成される。
先発であれ控えであれ、試合で起用せず練習に参加させるだけだとしても、国内組の重要性は無視することができない。
このような態度に固執するのであれば、クリンスマン監督にはベストメンバー、あるいは欧州組以外のKリーガーは重要視しないというイメージがつきまとうしかない。指揮官の采配を受ける選手たちも、これを知らないはずがない。
クリンスマン監督に韓国プロサッカーの発展やKリーグの広報を期待して、現場に出ろと駄々をこねているわけではない。アマチュアや2部リーグなどすべての試合にも通えと言っているわけではない。
ただ基本的な仕事をしろということだけを伝えたいのだ。
どうせ「馬の耳に念仏」だ。こうした意見にも耳を傾けようとも、理解しようとも、変わろうともしないだろうが、少なくともクリンスマン監督は自分に対してなぜ批判が殺到するのかを理解する必要がある。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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