「韓国にもこんな球場があれば…」
プレミア12で日本に敗れ準優勝に終わった野球韓国代表は、スーパーラウンドで台湾戦(ZOZOマリンスタジアム)を除き、すべての試合を東京ドームで戦った。
“日本野球界の聖地”とも呼ばれる東京ドームは1988年に建てられ、今年で竣工31年目を迎えた歴史あるドーム球場だ。空気膜構造方式(エアドーム)で設計された独特な球場として、約5万人の観衆を収容できるこのドームで受ける大歓声はまさに壮観だ。
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韓国代表は大会期間、東京ドームのすぐそばに建てられている東京ドームホテルに宿泊した。特徴的なのは、選手がホテルから東京ドームへ向かう際、外には出ることなく地下に連結された通路を渡って球場へ移動できることだ。
今回のプレミア12で初めて東京ドームを訪れたイ・ヨンハは、「ホテルから球場へと直行できるのが新鮮だった」と感想を述べた。
東京ドームでプレーした韓国選手たちは、動線以外にもドームの雰囲気や管理された施設を羨望のまなざしで見ていた。
イ・スンホは「東京ドームは良かった。最初に見たときはとても大きく思えたし、こんな球場で毎回ボールを投げたい」と話し、パク・チョンフンも「最初、東京ドームを見て“すごい”と思わず声が出てしまった」と、他とは違う東京ドームの雰囲気に感嘆の声を上げた。
完成から30年が過ぎたものの、徹底した管理によって選手に一切の不便を感じさせない点か高い評価につながっている。
左腕エースであるヤン・ヒョンジョンは、違った視点で考えを述べた。東京ドームの感想を聞かれ「とても良かった」と答えた彼は、「韓国にもこのような環境を備えた球場があれば…。韓国には名のごとく野球場しかない。東京ドームは周辺にショッピングモールや遊園地など、観衆が楽しめる要素が多く揃っている。このような環境なら、ファンもより多く球場を訪れるだろう」と語った。
実際、東京ドーム近辺では野球の試合がない日もショッピングや余暇を楽しむ人でにぎわっていた。ヤン・ヒョンジョンはファンが楽しめる娯楽施設が不足している韓国の野球場の周辺の環境に、物足りなさを感じたのだ。
韓国には、国内プロ野球KBOリーグ10球団が使用する10の球場がある。斗山ベアーズとLGツインズの本拠地であるチャムシル球場や、ロッテ・ジャイアンツのサジク球場、そしてハンファ・イーグルスが使用する大田(テジョン)野球場を除き、すべての球場が新築やリニューアルによって新しく生まれ変わっている。
だが韓国の球場はソウルの高尺(コチョク)スカイドーム以外、野球場の用途でのみ使用されている。つまり、複合文化施設としての活用価値はないということだ。
高尺ドームだけ見ても、コンサートなどさまざまなイベントによって多額の収益を得ている。このような付加価値の創出を考慮すれば、球場を“ただの野球場”ではなく、また違った意味で話題のスポットにすることもできるだろう。
試合がない日にも人を球場に呼び寄せられる娯楽施設を作り、球場を大衆になじみのある空間とすることも重要だ。それがすなわち、野球ファンの増大にもつながる。
観衆の減少に悩まされる韓国野球委員会(KBO)にとっても、悩みを打開できる方案となるはずだ。新築球場建設計画を発表したチャムシル球場と大田野球場も、参考とすべき事案である。
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