「サッカーよりも人間性」韓国をU-17W杯ベスト8に導いたキム・ジョンス監督はどんな人物?

2019年11月13日 サッカー

FIFA U-17ワールドカップで10年ぶりに韓国をベスト8に導いたキム・ジョンス監督(44)の“人間性重視”のリーダーシップが、世界の舞台で花を咲かせた。

キム監督は1997年に韓国Kリーグの大田シチズン(現在Kリーグ2所属)でプロデビューし、2005年に富川SK(現・済州ユナイテッドFC)で現役を引退した。

Kリーグで過ごした8シーズンで158試合に出場した彼は、ディフェンダーながら大田のクラブ創立初ゴールを決めたヒーローとしても有名だ。

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30歳の若さで選手生活を退くと、2007年から白岩(ペグァン)中学で指導者としてのキャリアをスタートさせ、2014年には韓国サッカー協会(KFA)専任の指導者として活動を始めた。

2015年にはチリで開かれたU-17ワールドカップにヘッドコーチとして帯同し、韓国のベスト16進出に貢献した。そして、2018年10月にはU-16韓国代表を監督として率いてマレーシアで行われたアジアサッカー連盟(AFC)U-16選手権で準優勝を果たし、今回のU-17ワールドカップ本戦出場を決めた。

キム監督は、“サッカーよりも人間性”を強調する指導者として、韓国内で名を馳せている。グラウンド内で自身の能力を存分に発揮するには、選手である前に人として成長していなければならないという持論があり、「選手として長く成功するには人間性が最も重要である」と強調している。

キム・ジョンス監督

U-17代表の選手たちは、成人レベルと差が大きい。身体面のみならず、精神的な面でもまだまだ未熟であり、成長段階にあるといっていいだろう。トレーニングの大変さに涙を流す選手もいるほど、アンダー世代の若い選手たちのメンタルは不安定だ。

キム監督は、選手たちにサッカーを教える司令官というよりも、グラウンド内外でどう行動して考えるべきかを教えてくれる“先生”としての役割が大きい。代表メンバーが招集されるたびに、キム監督は選手たちに挨拶や食事、宿舎でのマナーなどを事細かに教え込み、正しい姿勢と心構えを持てるようにサポートしてきた。

選手たちには、いつも「誠実、犠牲、根性」という3つのキーワードを強調している。グラウンドでは誰よりも誠実に、根性をもってトレーニングや試合に臨むべきだし、仲間のために犠牲になる精神を持つ選手になれと、我慢強く指導してきた。

自身が強調する価値にそぐわない選手がいれば、「断固としてグラウンドに入ってくるな」と叱責するほど、キム監督は人間性を重要視している。

キム監督が率いたU-17韓国代表は、規律と規則が厳しいことで定評がある。

チーム内のルールも存在する。選手たちは自分の携帯電話を就寝前にコーチングスタッフに預け、翌日の午前中に返してもらう。成長期にある選手たちが、夜遅くまで携帯電話を触ることで睡眠時間が不規則になるのを防ぐためだ。

また、コンディション管理という面から、夜間に携帯電話を使用することも禁止している。チーム内でルールを破る選手がいれば、罰則としてその選手の携帯電話を没収することもある。

ワールドカップ本戦出場が決まった後、「選手たちにワールドカップという舞台を経験させてあげたかった」とキム監督は明かしていた。そして韓国は、本大会でベスト8進出という大きな成果を残した。

史上初のベスト4進出は叶わなかった。だが、U-17ワールドカップで2度の優勝を誇る強豪メキシコを相手に韓国は最後まで食い下がった。キム監督と若き選手たちが紡ぐ“ワールドカップ・ストーリー”は、すでに第2幕の準備が始まっている。

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