Kリーグ・仁川ユナイテッド選手団がピッチに流した熱い涙は、人知れず闘病中の司令塔に向けたものだった。
仁川ユナイテッドは最終的に、衝撃的な噂について口を開いた。
10月20日、公式サイトとSNSチャンネルを通じて、最近浮上していたユ・サンチョル監督の“健康悪化説”について公式に認めたのだ。
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仁川は「ファンの皆さんに差し上げる文」というタイトルで、「最近浮上したユ監督の事案について事実関係を申し上げたい。ユ監督の健康状態が悪化したのは事実だ。黄疸の症状で成南FC戦(10月19日)が終わった後、病院に入院して精密検査を控えた状態だ。快癒することを願っている」と、チョン・ダルス社長の願いを発表した。
ユ・サンチョルといえば、現役時代は韓国代表として活躍し、Jリーグの横浜マリノスや柏レイソルでプレーしたことでも知られる。
仁川の選手たちが尋常でない雰囲気を見せたのは、10月19日、城南遠征のときだった。仁川はこの日、プレーオフ初戦から外国人ストライカーのステファン・ムゴシャのゴールで、1-0の勝利を収めた。
今シーズン、1ゴールも記録できないまま2分1敗と苦手としていた“城南ジンクス”を破ったのはもちろん、自力でリーグ10位圏に上がって降格圏脱出に成功した意味のある試合だった。
試合終了後、仁川の選手たちは顔を下げたまま、かなり長い時間、涙を流した。コーチ陣はもちろん、イ・チョンス戦力強化室長まで流れる涙を我慢できず、選手団全体が涙の海となった。
まだシーズン終了まで4試合を残した状況で、1部リーグ残留を決めたわけでもなかっただけに、単純に勝利を喜んでいるだけには見えなかった。
解明までにかかった時間は、一日だけだったが、その間にはさまざまな噂が広がった。特定の病名と症状の進行具合、闘病開始時期、選手団に告知された時点などが推測された。
特に成南戦のベンチにいたユ・サンチョル監督のアップされた写真で病状が囁かれ、深刻な病気ではないかと心配する声が大きくなった。韓国最大のポータルサイト「ネイバー」では、「ユ・サンチョル」の3文字がリアルタイム検索ワードの上位圏にとどまっていた。
発表文で明らかになったクラブの立場は、いつも以上に慎重だった。巷に漂うユ監督の病気について具体的に説明するのではなく、最低限の事実関係を伝えるだけに終わっている。
むしろ「ユ監督が今季を健康に終えることを心から願う。クラブを愛するファンの皆さんも、監督の快癒を祈ってくれるよう懇切にお願いする」とし、「クラブはこの後に発生するすべてのニュースを愛するファンとメディア関係者に共有することを約束する。メディア関係者の皆さんは、誤ったデマと憶測の報道などで、ユ・サンチョル監督をはじめとする周囲の人々を苦しめること自制してほしい」と、病状よりも要請に大きな比重を置いた。
先立ってユ監督は成南戦が終わった後の公式インタビューで、選手たちが涙を流している様子について、「これまでも結果を出すことができたのに、そうできなかったという思いが爆発したようだ。今、仁川は危険な位置にいるため、勝利の感動が大きくなったようだ。私も感動した」と話した。
そして「前日(10月18日)が私の誕生日なので、私への贈り物として泣いているのではないかと思ったよ」と冗談まで飛ばし、自分の病気については何も知らせなかった。
クラブの慎重な対応も、このような司令塔の意思を尊重したものと解釈される。
仁川は4月15日にヨルン・アンデルセン監督と別れて、今シーズンのKリーグ1で最も早く監督交代を断行した。