「一番高いところにいる時…」
韓国の“バレー女帝”キム・ヨンギョンが引退について自ら言及した。
彼女は2月15日、仁川(インチョン)で開かれたVリーグ女子部の対ペッパー貯蓄銀行戦で、チーム最多の19得点、アタック成功率63.33%を記録し、セットカウント3-0の完勝を牽引した。
試合後、記者会見に登場したキム・ヨンギョンは「引退する考えが全くないというのは嘘だ。韓国の数え年で36歳」と切り出したあと、「長い間バレーボール選手としてプレーしてきた。選手によって考えが違うだろうが、私は高い場所にいる時に降りた方がいいと思う。引退するかどうかはまだ決まっていない。球団と調整中だ。今シーズン中に最終決定を下す」と真剣に引退を考えていることを明らかにした。
引退をほのめかしたキム・ヨンギョンだが、実力は未だトップクラスだ。昨シーズン6位だった興国生命ピンクスパイダースを首位争いができるチームへと変貌したのは、キム・ヨンギョンの功績が大きい。
興国生命は同日の勝利で106日ぶりに1位の座に就いた。キム・ヨンギョンは今季、攻撃総合全体1位、得点5位、オープン攻撃3位、クイックオープン4位、時間差1位など主要攻撃指標で上位圏に位置している。チームの主将ではないが、“精神的支柱”の役割を担っている。
コート上だけでなく、今季は強力な“チケットパワー”も発揮している。興国生命はもちろん、アウェーの試合でも彼女を見ようと人が殺到し、満員御礼が続いた。
ただ最近、興国生命は「方向性が合わない」という理由でクォン・スンチャン前監督を更迭。イ・ヨンス前首席コーチもチームを離れた後、指揮官なしにシーズンを行っている状況だ。だがキム・ヨンギョンは「最近のことで(引退を)決める問題ではない」と一線を引いた。
なおキム・ヨンギョンは今季終了後、Vリーグでは初めてFAの資格を得る。これが彼女の去就に注目が集まる最大の理由だ。
キム・ヨンギョンは2005-06シーズン、新人ドラフト1位で興国生命のユニホームを着た。興国生命での最後の優勝は2008-09シーズンのため、今シーズン優勝することとなれば14年ぶりに優勝トロフィーを掲げることとなる。
これまで、海外では数多くの優勝カップを掲げてきたにもかかわらず、キム・ヨンギョンが今季の優勝を切に願う理由だ。キム・ヨンギョンの言葉通り、今季優勝後、一番高い場所にいる時に拍手を受けながら引退できるか注目される。
◇キム・ヨンギョン プロフィール
1988年2月26日生まれ。韓国・京畿道出身。身長192cm。興国生命ピンクスパイダーズ所属。小学4年生からバレーを始め、2005年に新人ドラフト1位で韓国Vリーグの興国生命ピンクスパイダーズに加入。その後、JTマーヴェラス(日本、2009年~2011年)、フェネルバフチェ(トルコ、2011年~2017年)、上海ブライトユーベスト(中国、2017年~2018年)、エジザージュバシュ(トルコ、2018年~2020年)と海外を転々とし、2020-2021シーズンは11年ぶりに復帰した興国生命で活躍、退団後は上海ブライトユーベストでプレーし、2022年6月に興国生命に再復帰した。東京五輪ではキャプテンとして女子バレー韓国代表をベスト4に導いた後、2021年8月12日に代表引退を発表。2019年8月からは『シッパンオンニ(食パンお姉さん)』という名前でYouTubeチャンネルを運営している。
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