韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は9月20日、賞罰分科委員会を通じてユン・イナに対しKLPGAが主管、または主催するすべての大会(ツアー、シード戦、選抜戦)への3年間の出場停止を科すことを発表した。
ユン・イナは今年6月に行われた「DBグループ・第36回韓国女子オープン・ゴルフ選手権大会」で、“誤球プレー”を犯すルール違反をした。当時は自身のティーショットでそれた球をラフで発見し、そのままプレーを続行していたのだが、実際にはユン・イナがマークした玉ではなく、まったく別の球でプレーを続けていたことが後日わかったのだ。
ユン・イナはその事実を認知していながらすぐに報告せず、約1カ月後の7月にはじめて、同大会を主催した韓国ゴルフ協会(KGA)に誤球を自ら申告した。結局、KGAは「韓国女子オープン・ゴルフ選手権大会」への3年間の出場停止処分を下し、KLPGAも今回、同等の懲戒を下すことになった。
たった“一球”をめぐる不正行為で、選手生命危機の重懲戒を下されることになったユン・イナ。では、一体彼女はこれまでどんなゴルフ人生を歩んできたのだろうか。
ユン・イナは2003年5月生まれのソウル出身の19歳。小学3年生の頃、父親に連れられたスクリーンゴルフ場でゴルフに興味を持ち、小学5年生からアカデミーを通じて本格的にゴルフを学び始めた。
2018年には、韓国ゴルフ協会(KGA)の国家代表選抜戦で中学生として唯一、国家代表に選出。翌2019年も選抜戦を勝ち抜き、2年連続で国家代表に選ばれた。
アマチュア時代の成績も華々しく、2019年の「韓国女子アマチュアゴルフ選手権」では大会史上4人目となる“中学生王者”に。翌2020年には招待選手として出場したKLPGAの正規ツアー(1部)「ロッテ・カンタータ女子オープン」でアマチュア最高位の26位を記録した。
そして2021年から正式にプロ転向し、同年はジャンプツアー(3部)で1度の優勝、ドリームツアー(2部)で2度の優勝と3度の準優勝を記録。今季から正規ツアーを主戦場に戦うことになった。
今シーズンは出場15大会中12大会で予選通過し、6月下旬の「BCカード・ハンギョンレディースカップ2022」で3位、7月上旬の「メッコール・モナパークオープンwith SBS Golf」で2位に入賞。そして、同月中旬の「エバーコラーゲン・クイーンズクラウン2022」では自身初の1部優勝を成し遂げた。そんな矢先、前出の不正行為で大会出場を絶たれる形となった。
ユン・イナはアマチュア時代、韓国のゴルフメディア『ゴルフダイジェスト』とのインタビューで「私は周囲の助けがなければ、今もゴルフを続けられていたか疑問に思うことがあります。両親はもちろん、これまで多くの助けをくださった方々のためにも、私は立派なゴルファーになりたい。そして、みんなから“素敵な選手”と言われるようになりたいです」と語ったことがあった。
アマチュア時代から将来を嘱望され続け、プロでもルーキーらしからぬ活躍を披露していたユン・イナ。それだけに、自らキャリアに泥を塗ることになった今回の失態は残念としか言いようがないだろう。
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