蔚山現代は8月中旬以降からチーム全体のコンディションが著しく低下している。直近4試合の成績は1勝1分2敗だ。全北現代がACLによる疲労の影響で同期間の勝ち点獲得に後れを取っただけに、最低でも2勝していれば2位との差はさらに離すことができた。
不振の主な要因には、ビルドアップを志向する蔚山現代の“エンジン”とも言える2列目のコンディション低下が挙げられる。
キャプテンのMFイ・チョンヨン(33)が先発とジョーカーを行き来して孤軍奮闘するなか、MF天野純(31)やFWオム・ウォンサン(23)が以前のようなパフォーマンスを見せられずにいる。
なかでも、天野はコンディションサイクルの維持に苦労している様子だ。
実際、天野は蔚山現代加入以前の直近2年間で先発出場した回数がそう多くなかった。
ロケレンにレンタル移籍した2019-2020シーズンはベルギーリーグ24試合に出場し、うち23試合が先発だった。
しかし同年シーズン終盤、新型コロナウイルスの感染拡大でリーグが打ち切りとなり、ロケレンも経営悪化で破産。このため横浜F・マリノスに復帰することになるが、以降のJリーグでは主に交代要員に回ることになった。特に昨季はリーグ戦で34試合に出場するも、先発はわずかに7試合だった。
ただ、今季にレンタル移籍で加入した蔚山現代では固定メンバーとして生まれ変わった。だが、中2~3日の厳しい連戦が続くなかでシーズン終盤に本調子を発揮できずにいる。
チーム内最多得点(11ゴール)のオム・ウォンサンも、持ち味のスピードと決定力が落ちている。オム・ウォンサンは今シーズン、蔚山現代の主力で誰よりもクラブと代表を行き来するハードスケジュールを消化し、最近では左腕を負傷してしまった。
ホン・ミョンボ監督は2人の代替選手としてFWユン・イルロク(30)を起用しているが、期待ほどの活躍を見せられていない。中盤の要であるMFウォン・ドゥジェ(24)もシーズン通して負傷に苦しみ、本来のコンディションを取り戻せずにいる。
2列目のパフォーマンスが落ちたことで、対戦相手は密集した守備で蔚山現代のビルドアップを制御し、以前より簡単にカウンターを展開できるようになった。
そこでより深刻な問題は、守備陣が簡単に相手FWのマークを外してしまう点だ。