天野純や髙萩洋次郎のことも。オ・ジェソクに聞く「日本人Kリーガー」「韓国人Jリーガー」の往来【一問一答】

元ガンバ大阪、FC東京、名古屋グランパスのオ・ジェソクがプレーするKリーグでは、近年日本人選手の活躍が目覚ましい。

【前回】オ・ジェソクが見る今のJリーグと日本代表

邦本宜裕(全北現代モータース)や石田雅俊(大田ハナシチズン)など、以前からKリーグで活躍している選手はもちろん、特に今季は、横浜F・マリノスからレンタル移籍中の天野純(蔚山現代)が圧巻の存在感を披露。最近では名古屋グランパスから水原三星ブルーウィングスに完全移籍した齋藤学もKリーグファンの注目をさらっている。

では、そんな日本人Kリーガーのことをオ・ジェソクはどう見ているのだろうか。また、近年韓国人選手のJリーグ参戦が減りつつある傾向についても考えを聞いた。

全5回でお届けするオ・ジェソクとの単独インタビュー一問一答。第4回は日本人Kリーガーと韓国人Jリーガーの往来についてお送りする。

「K→Jの選手移籍が減った理由は…」

―近年のJリーグを見ると、Kリーグからやってくる韓国人選手が以前と比べて少なくなっている印象があります。オ・ジェソク選手がガンバ大阪に加入した2013年当時はJ1に24人、J2に37人と、計61人の韓国出身選手がいましたが、今季はJ1からJ3まで合わせて約20人となっています。

「大きな理由は、韓国のローカルルールである“U-22選手義務出場規定※”にあって、この規定によって、高校を卒業した選手がKリーグを選択する比重が高くなりました。それまでは若手選手がストレートに日本に挑戦する事例が多くて、彼らがよりKリーグに定着するために、そのような条項が作られました。

なので、この規定が設けられてからは、高校を卒業してすぐにプロ入りする選手が増えました。その反面、大学を卒業した選手は規定に当てはまらないので、卒業してK3、K4などセミプロの下部リーグに行く選択が増えています。これらが、KリーグからJリーグへの移籍が減った一つの理由だと思います。

システム的に、韓国の若手が海外に挑戦することが少し難しくなった気がします。ただ、以前は比較的自由に選択できたことで、多くの選手が海外に流出してしまったので、このような規定を設けたのだと思います」

※U-22選手義務出場規定→2013年に「U-23選手義務出場規定」として導入され、2019年から22歳に年齢が引き下げられたKリーグ1・2部の独自ルール。各チームは22歳以下の選手を登録メンバーに最低2人登録しなければならず、うち1人以上を先発で起用しなければならない。

―Jリーグでは2019年から、外国籍選手枠が従来の「3+1」から「5」へと拡大しました。その代わりにアジア枠が撤廃となりましたが、この影響もあるのでしょうか。

「その影響もあると思いますね。近年のJリーグは、ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタを基点に多くのビッグネームが来るようになりました。なので、強化の方針が現実的になり、“有望株への投資”から“能力の高い選手の獲得”という風になったと思います。また、それによる観客数増加やメディアへの関心度など、商業的な考えが強まったことで、韓国人選手をめぐる構造もたくさん変化したようです。

それに、最近だと国内出身の有名な選手も続々とJリーグに戻っていますよね。リーグ全体として、そのような話題性に重きを置くようになった印象があります。

つまり、KリーグからJリーグに来る選手が減った理由としては2つ。一つは日本でメディアやファンの関心を引くようなビッグネームを獲得したり、国内出身の有名選手が復帰したりするケースが増えたこと。もう一つは、韓国で若い選手を外部に流出させないようにするシステムが構築されたことだと思います」

(写真=姜亨起/ピッチコミュニケーションズ)オ・ジェソク

Jを目指す若手に伝える「海外挑戦の難しさ」

―逆に、JリーグからKリーグに移籍する韓国人選手も増えているように感じます。オ・ジェソク選手自身もそうですが、最近ではナ・サンホ選手やウォン・ドゥジェ選手、キム・ヨングォン選手などが、JリーグからKリーグに移籍しました。

「コロナの影響もあると思います。実際、僕もそれが理由のひとつにありましたし。ただ、JリーグとKリーグはサッカーのスタイルがまったく違いますし、日本で経験したことは韓国で確実にプラスになります。

それに、いつかまた日本でプレーしたいというKリーグの選手もいます。Jリーグ特有の、少し自由度があって綺麗な生活文化や、チームのプロフェッショナルさなどが恋しく感じるようです。僕自身、Jリーグから韓国に行って、また日本に行きたくなる選手の気持ちも理解できますし、日本からKリーグに戻りたいと思う選手の気持ちも理解できます」

―制度の影響もあって、Jリーグでプレーする韓国人選手が減っている状況でも、Kリーグには将来日本でプレーしたいという若手選手が今も多いのでしょうか。

「多いですよ。日本に行きたいと思っている選手は本当に多いです。どのチームに行っても、下部リーグの選手と個人的に会っても、“日本に行きたい”と伝えられます。特に、中盤の若い選手で、日本に行くことが目標という選手は多いですね。

ただ、海外に挑戦すること自体は良いですが、日本に行くことが無条件に成功を保障することではないですよね。外国人選手として海外で生き残ることは、自分が想像するよりもはるかに厳しいことです。

なので、僕も若手にはそのような話をたくさんします。彼らは外部から、日本でプレーすることメリットしか聞かされないので。スタジアムに観客がたくさん入って、良い芝生でプレーできて、環境も良く、サッカーのスタイルも楽しい。そのようなことを説明されて、そのことばかり考えるので、いざ自分に訪れる困難をちゃんと認知できていないんです。

正直、アジアの中ではあらゆる面で日本がトップだと思います。クラブの財政状態、ファンの関心、選手のレベル。それに、選手たちがプロとして受ける環境など。これらはアジアで一番だと思いますし、僕もよく話すことなので、それを聞いた若手がJリーグを志しているのだと思います。

とはいえ、海外生活を一人で過ごすことは決して簡単ではありません。自炊をしなければならないし、ときには弁当で食事を済ませなければならない日もある。家族もいないし、言語の問題もある。日本に限らず、海外ではそのようなことがあると若手には欠かさず言い聞かせています。

もしJリーグに挑戦したいのであれば、必ず日本語を勉強すること。そして、日本の文化を学ぶこと。このことをいつも強調しています」

日本人Kリーガーの増加は「歓迎すべきこと」

―一方で、ここ最近はKリーグに来る日本人選手がかなり増えていますよね。今季は1部に5人、2部に6人と、計11人の日本人選手がプレーしています。Kリーグ全体として、日本人選手に対する評価や見方が変わりつつあるのでしょうか。

「やはり、きっかけは髙萩洋次郎さん(FC東京)だと思います。

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