“韓国の至宝”と呼ばれるMFイ・ガンイン(21、マジョルカ)に、“もう一人の左利き”であるMFホン・ヒョンソク(22、LASKリンツ)が加わった。
現役時代にセレッソ大阪、柏レイソルで活躍したファン・ソンホンが監督を務めるU-23韓国代表は、ウズベキスタンで行われているU-23アジアカップのグループステージを2勝1分の首位で突破した。そして来る12日、決勝トーナメント準々決勝でU-21日本代表と激突する。
韓国は最終節でタイに1-0で勝利した。決定力に物足りなさは残るものの、ひとまず無敗でグループステージを通過することができた。現体制でのプレー経験がなく、所属チームでのスケジュールから遅れて合流したメンバーもいることを考慮すれば、決して悪くない戦いぶりだ。
何より、ファン・ソンホン監督はイ・ガンイン、ホン・ヒョンソクという2人の欧州組による中盤の連係が向上している点をポジティブに捉えている。
Kリーグの強豪・蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)ユース出身のホン・ヒョンソクは、高校卒業直後の2018年から欧州でプレーを続けており、これまでドイツ、オーストリアの舞台を経験した。
昨夏からはFW中村敬斗(21)も所属するLASKリンツの主力を張っており、2021-2022シーズンは公式戦通算39試合に出場した。
これらの活躍を受け、ホン・ヒョンソクは今年3月の江陵(カンヌン)での合宿でU-23代表に初招集。そして今回、U-23アジアカップのメンバーにも選ばれた。
ベールに包まれていたホン・ヒョンソクの実力だが、先発出場したグループステージ初戦のマレーシア戦からそのパフォーマンスが存分に発揮された。第2戦のベトナム戦では後半から途中出場し、最終節のタイ戦ではイ・ガンインとともに中盤で攻撃をコントロールした。
正確な左足キックで攻守転換はもちろん、前線へのパスまで、創意性のあるプレーでファン・ソンホン監督を虜にした。ホン・ヒョンソクはこれまでパス68回、チャンス創出3回を記録した。
そんなホン・ヒョンソクとコンビを組むイ・ガンインは、これまで現代サッカーに合わないスピードの遅さ、守備参加の不足が指摘されてきたが、今大会では攻撃面での存在感はもちろん、積極的な守備参加など、攻守両面でチームを助けている。
第2節では軽微な筋肉負傷により出場がなかったが、先発復帰した第3節では後半に途中交代を命じられながらも、もっとプレーしたいという意志の強さまで示した。
マジョルカでは目立った活躍を見せられなかったイ・ガンインだが、ボールキープや左足の感覚的なパスセンスは相変わらず。タイ戦では後半9分、一本のキーパスでFWチョ・ヨンウク(23、FCソウル)のシュートチャンスを演出した。惜しくもオフサイドの判定に終わったとはいえ、相手のDFラインを一気に崩すパスで才能の一端を見せつけた。
現メンバーでの実戦経験がなかったため、ファン・ソンホン監督はグループステージ3試合で先発メンバーを変えてきた。さまざまな組み合わせを実験しているという意味だ。
そのなかで、イ・ガンインとホン・ヒョンソクという中盤の組み合わせを発見できたことは、U-21日本代表と激突する決勝トーナメント準々決勝に向けて最大の収穫と言えるだろう。
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