昨年11月、マンチェスター・ユナイテッドの韓国・日本担当スカウトの田村圭と会ったことがある。
彼はJリーグのセレッソ大阪、浦和レッズのスカウトを経てマンUと仕事をするようになった。彼が持っている情報そのものに対外秘のものがあり、多く会話はできなかったが、彼の言葉の中に記憶に残るものがひとつあった。
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「日本選手たちは欧州へ進出しすぎて残念だ」ということだった。
日本の選手たちは今や、イングランドやスペインのようなビッグリーグからポーランドやロシアのような東欧リーグまでヨーロッパ全域に広がっている。
あちこちに散らばっている日本の選手たちを合わせると50~60人ほどになるという。
ベルギー1部リーグのシント=トロイデン(STVV)は日本企業に買収された後、6人の日本人選手が活動している。今回のアジアカップでMVP候補にまで挙がっている20歳のDF冨康健洋が、ほかならぬSTVV所属だ。
ところが田村は言うのだ。
「Jリーグも環境が良いのでまずはより安定した環境の中でプレーし、技量が成熟したときに欧州に行ってはどうかと思う。しかし、これから発展しようとする時期に欧州に行って、出場時間の問題などで技量が停滞する場合がある。個人の意思を尊重するが、そういった面では少し残念だ」
彼が韓国選手の現状を聞いてくることはなかったが、もしも彼が「韓国はどうなのか」と聞いてきたら、仕方なくこう返すつもりだった。