サッカー韓国代表が、来る7月に開催予定のE-1サッカー選手権(E-1選手権)に“A代表”で出場する意志を固めたようだ。
韓国サッカー協会(KFA)の幹部は2月23日、本紙『スポーツソウル』に対し「E-1選手権にはA代表が出場する」と明らかにした。
続けて、「今年はあらゆる特殊性を考慮し、特定のチームから選手が多数招集されるなど、議論になる部分についてはパウロ・ベント監督と協議する」と伝えた。
Kリーグ複数クラブの団長や事務局長も、「(E-1選手権に)A代表で出場すると聞いている。選手派遣については円満に調整していただきたい」と口をそろえた。
7月19日から27日にかけて中国で行われるE-1選手権。東アジアサッカー連盟(EAFF)主催で2003年から始まった同大会は、国際サッカー連盟(FIFA)主管の大会ではないため、欧州組の選手の義務出場規定がない。
このため、E-1選手権に出場する各国は、基本的に自国リーグやアジア諸国のリーグに所属する選手でメンバーを構成。最精鋭のメンバーこそいないものの、“日韓戦”など注目の試合を通じてファンの関心を集めてきた。
何より、今年のE-1選手権は“ワールドカップ・イヤー”に行われる。韓国代表率いるベント監督は、E-1選手権をW杯前最後の「国内組チェック」の舞台と考えている。
ただ、今年のW杯が従来の夏季開催ではなく、冬季に開催されることで、新たな問題も生じている。韓国Kリーグだけでなく、日本のJリーグなど春秋制を採用しているアジアのリーグでは、2022シーズンを早期開幕してW杯前までに終了させる日程を組んでいる。
Kリーグでは去る2月19日に1・2部が同時開幕。昇降格プレーオフ含めたすべての日程を10月までに終了させる予定だ。3月に開幕し、12月に閉幕していたこれまでの日程と比べてハードであることがわかる。
そのほか、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)や杭州アジア大会といった各種大会の日程も絡んでいるため、万が一の際の予備日が例年以上に少ない。ここに新型コロナウイルス感染の余波にも翻弄することになれば、シーズン完走は難しくなるという声も出ている。
E-1選手権の大会期間、Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟はリーグ戦を通常通り進めることを決定した。E-1選手権開幕前の代表招集日程も含め、この間に1部第22~24節、2部第27~29節の各3試合ずつ行われる。
大会終了後の7月29日と30日には1部第25節と2部第30節が行われるが、E-1選手権に出場する代表選手は、状況によって最大4試合を欠場する可能性がある。
ベント監督はこれまで、国内組招集の際に全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースや蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)といった特定のチームから多くの選手を呼んだ。今年1月に実施したトルコキャンプと国際親善試合では、全北現代、蔚山現代のほか金泉尚武(キムチョン・サンム)から6人が招集された。
ベント監督は基本的に同じメンバーを招集し、継続的にチェックをするという性格であることから、今回のE-1選手権でも上記3チームの選手を中心にメンバーを組む可能性が高い。E-1選手権の選手派遣によって、リーグ戦での1年間の努力が無駄になりかねないという不満の声が出ている理由もそこにある。
韓国プロサッカー連盟はE-1選手権での選手招集と関連し、特定のチームが被害を受けたり、公正性をめぐる議論が広がったりすることを懸念して、KFAに対し昨年末から「U-23代表の選出に協力してほしい」と要請していた。
ただ、EAFFはスポンサーとの契約要件などを理由に、参加国の協会に各国トップレベルの選手の招集を強くお願いするようだ。日本では最近、「(日本代表が)E-1選手権にU-21世代(パリ五輪世代)を送り出す」という報道も伝えられたが、韓国ではKFAが予定通りA代表を送り出すことを決めた。
仮に韓国プロサッカー連盟が要請するU-23世代を派遣するとしても、また異なる憂慮が発生する。というのも2部の一部チームではU-23世代の選手が中心で活躍しているからだ。U-23世代がE-1選手権に続き杭州アジア大会にも出場するとなれば、その間に一部チームは主力を欠き、1部昇格争いが困難になる恐れがある。
このため、E-1選手権に出場するのがA代表であれU-23代表であれ、各チーム当たりの招集人数に制限を設けるか、従来の“国内組によるA代表”の招集方式を調整することが合理的だという話が出た。
韓国プロサッカー連盟側は「ひとまずKFAの明確な立場は伝えられていない。明らかなことは、E-1選手権によってリーグの日程を調整する余裕はないということ」とし、「最大限(招集)問題の解決と関連し、(ベント監督の)前向きな姿勢を望むしかない」と伝えた。
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