韓国プロ野球(KBO)のKTウィズが新たに獲得した外国人打者ヘンリー・ラモス(29)とは、一体どんな打者なのか。KBOへの適応という面では未知数だが、2019年まで同球団で活躍し、阪神タイガースへと移籍したメル・ロハス・ジュニアよりも一枚上手と期待されている。KTのイ・スンヨンGMは、「ライナーの打球がよく、パンチ力もある。ロハスがKTに入団した時よりもワンランク上」と自信を示した。
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今回、韓国のデータ分析企業「スポーツデータエボリューション(SDE)」に依頼して、ラモスの今季マイナーリーグ(トリプルA)72試合の記録を見てみた。
魅力的な打撃能力
ラモスはAAAで75試合に出場し、本塁打12本を含む95安打57打点、打率3割7分1厘を記録している。目立つのは出塁率が0.439に達し、いわゆる「3-4-5シーズン」を完成させたという点だ。3-4-5シーズンは、打率3割、出塁率4割、長打率5割を同時に突破したという言葉だ。OPS(出塁率+長打率)も1.021に達しているので、基本的な打撃技術を備えている打者として認識される。
スイッチヒッターのラモスは、ヒッティングポイントを作って攻略する能力を持っている。 コースによっては、自ずと打球方向を作ったりもするが、スタンスの変化で角を作る技術も身につけているように見える。
ラモスが活躍したダイヤモンド・バックス傘下のリノ・エーシズはAAA西地区のため、打者にとって易しいリーグと言えるが、それでもAAA通算916試合、80本塁打という記録は、基本的な打力は問題ないという証左だ。加えて二塁打181本と三塁打32本、盗塁79本も記録しており、非凡な機動力も兼ね備えている。
SDEが抽出したラモスの72試合の記録を見ると、速球が飛んできた時の空振り率は12%に留まっている。選球眼が良いだけに、自身だけのヒッティングゾーンが形成されていると推測できるが、スイッチヒッターという点を考慮しても、打球の方向が左右に広く分布している。
左打席に立った時はゴロの割合が72%だったが、打率3割6分0厘、出塁率4割2分6厘を記録している。右打席ではゴロが24%と大幅に減り、打率4割3分3厘、出塁率4割9分4厘で、より正確な打撃を見せている。その代わり、右打席では少々強引に引っ張った打球が多いようだ。
韓国野球における、外国人打者は変化が大きな変化球が弱点という先入観に当てはまらないとされている。速球相手の打率は3割8分9厘だったが、チェンジアップ(3割4分8厘)、カーブ(5割)など打者のタイミングを奪う球種にもうまく対応している。
ただ、ストライクゾーンの上を通過する速球は苦手とされている。スイングの始動時、上半身がホームプレート側にやや傾き、あらかじめ中心移動をしたあとに骨盤を回転するため、胸の高さに飛んでくる速球にバットが追い付かないと見られる。事実、高めの球に対しては、打率2割、出塁率3割3分3厘と苦戦しているようだ。
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