野球韓国代表の新監督候補に、かつて千葉ロッテマリーンズや読売ジャイアンツ、オリックス・バファローズに所属したイ・スンヨプ(45)を推す声が挙がっている。
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ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ東京五輪でメダル獲得に失敗した野球韓国代表。キム・ギョンムン監督体制で多くの課題を残した代表チームは、選手選考に始まり一から十まですべてを再点検しなければならなくなった。
韓国野球は国際舞台で限界に直面した。これは代表の根幹となるプロ野球KBOリーグの問題にもつながるが、代表そのものにも変化を加えなければならない。そのなかには、今後代表を率いる監督の選任問題も含まれている。
東京五輪でのふがいない結果に嘆く余裕もなく、来年には杭州アジア大会が控えている。キム・ギョンムン監督は東京五輪をもって任期が満了した。杭州アジア大会では新しい指揮官を据えなければならない。必然的に、次期監督に誰を選ぶかに関心が寄せられている状況だ。
現在の代表メンバーを見ると、1998年生まれの外野手イ・ジョンフ(23、キウム・ヒーローズ)や1999年生まれの内野手カン・ベクホ(22、KTウィズ)、2000年生まれの投手ウォン・テイン(21、サムスン・ライオンズ)など、才能ある若手が主軸を担っている。
これまで代表をけん引したベテランは一歩退き、これからは勢いのある後輩を応援する立場となった。であれば、監督の“世代交代”も考えて良いはずだ。
それこそ、現在KBOリーグ広報大使やSBS解説委員を務める“国民打者”ことイ・スンヨプが適任者と言えるだろう。
まだ指導者の経験こそないものの、代表を率いても十分なキャリアと能力を備えている。イ・スンヨプ体制で韓国野球の若返りも期待できる。
イ・スンヨプは日本と韓国で活躍した現役時代に驚異のキャリアを積み上げた。韓国の舞台だけで通算打率0.302、通算467本塁打、通算1498打点を記録。本塁打と打点は歴代1位だ。
日本でも高い名声を得て、2012年に韓国に復帰。そして、2017シーズン終了後、多くのファンの声援を受けながら、惜しまれつつも現役生活にピリオドを打った。
オリンピックやアジア大会、WBCなど、国際部隊の経験も豊富だ。それもただ出場しただけではない。2000年シドニー五輪では松坂大輔相手に2ラン本塁打を飛ばすなど、“巨砲打者”として活躍を披露。2008年北京五輪では日本との準決勝、キューバとの決勝でそれぞれ本塁打を放ち、韓国の優勝をけん引した。
イ・スンヨプは現役時代、さまざまな経験を通じて自身のキャリアを形成した人物だ。たゆまぬ努力を基に“国民打者”と呼ばれるまで成長し、国際大会で自身の価値を証明した。
イ・スンヨプを次期代表監督の適任者として考えられるもう一つの理由には、解説委員としての活動を挙げられる。
イ・スンヨプは解説委員として活動しながらKBOリーグ全10球団の状況をくまなくチェックしてきた。各球団に所属する選手の長所と短所を毎試合観て分析する。若手からベテランまで、打者と投手のどちらも、イ・スンヨプは現場で見守ってきた。
プロ野球だけでなく、東京五輪を含む国際大会の解説も務めてきた。つまり、国内のみならず他国の選手も入念にチェックする“見識”を鍛えたのだ。
華々しい現役時代から引退後のキャリアを見ても、代表監督を任せても十分な人物と言える。しかも、イ・スンヨプは常に勉強を続ける努力家としても有名だ。
これまで代表を率いたキム・ギョンムン監督は62歳。まだ40代中盤のイ・スンヨプは、現場で指揮を執るには若いと言える。
ただ、年齢を問題にすることはない。重要なのはチーム、そして選手をけん引できる力量とリーダーシップを兼ね備えているからだ。イ・スンヨプが歩んだキャリアを見れば、年齢が問題となることはないだろう。
韓国野球は変化が必要な時だ。韓国は国際大会で苦汁をなめ続けているだけに、新たな視線、試みをしなければならない。
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