FWとMFは全員が出場したにもかかわらず、DFのみ限定的な起用だ。「本当にこれだけの人数を招集すべきだったのか」と疑問を抱かざるを得ない。
9月に行われた2022年カタールW杯アジア最終予選グループAで、2日にイラク代表、7日にレバノン代表と対戦した韓国代表。
チームを率いるパウロ・ベント監督は今回、2試合を戦うため26人の選手を招集した。GK3人を除く23人のフィールドプレーヤーが選ばれたわけだが、そのうち18人が出場機会を得た。
一方、この予選期間に試合に出られなかったフィールドプレーヤーは5人。DFパク・ジス(27、金泉尚武)、DFチョン・スンヒョン(27、金泉尚武)、DFクォン・ギョンウォン(30、城南FC)のセンターバック3人と、DFカン・サンウ(27、浦項スティーラース)、DFイ・キジェ(30、水原三星ブルーウィングス)のサイドバック2人だ。
つまり、守備陣の選手だけで5人も試合に出場できなかったのだ。
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ベント監督は2試合でDFキム・ヨングォン(31、ガンバ大阪)とDFキム・ミンジェ(24、フェネルバフチェ)をセンターバックに据え、左サイドバックにはDFホン・チョル(30、蔚山現代)を重用。右サイドバックはDFキム・ムンファン(26、ロサンゼルスFC)とDFイ・ヨン(34、全北現代モータース)が併用された。
実質、4バックにほとんど変化はなかったと言って良い。
反面、FWとMFは全選手がプレーした。試合内容やパフォーマンスとは関係ない。韓国は2試合で相手の密集守備に苦戦した。DFラインを下げてゴール前に“バスを置く”相手の守備を打破することができず、苦労する様相が続いた。
結局、ベント監督は雰囲気を変えるため、前線と中盤に多様な変化を与えた。特に、イラク戦ではMFナム・テヒ(30、アル・ドゥハイル)、MFクォン・チャンフン(27、水原三星ブルーウィングス)、FWファン・ヒチャン(25、ライプツィヒ)の3人が途中から投入された。
相手の守備を崩すために前線の攻勢が目まぐるしく入れ替わるなか、DFラインだけは変わらなかった。イラク戦で右サイドバックの先発を務めたキム・ムンファンが、途中でイ・ヨンと交代したのが唯一の変化だ。これが、そのほかの守備の選手がまったく機会を得られなかった背景である。
韓国は今後もこのようなパターンを繰り返す可能性が高い。グループAではイラン代表を除き、韓国相手に正面対決を挑むような相手はいない。残りの国々は、戦力で上回る韓国を防ぐために徹底したカウンターを駆使するしかない。そうなると、韓国としては今回同様、攻撃の選手を入れ替える采配をするしかない。
DFラインの主力がほぼ確定しているのであれば、あえて守備の選手をこれだけ招集する必要もないだろう。負傷やコンディション不良などのアクシデントが発生する可能性はあるが、一つのポジションで2倍の人数を選べば問題なく入れ替えられるはずだ。
センターバック2人、サイドバック2人ずつを選べば、残るカード2枚は前線に使うことができる。例えば、FWオ・セフン(22、蔚山現代)やFWキム・シンウク(33、上海申花)のような空中戦に長けた選手や、MFイ・ガンイン(20、マジョルカ)のようなテクニカルなプレーを駆使する選手を呼ぶことができる。
試合運営の面で見ると、今回の2試合は決して効率が良いとは言えなかった。ベント監督が今後考慮すべき点だ。
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