6勝7分12敗。勝ち点25。12チーム中最下位。
これは、2021シーズンの韓国Kリーグ1(1部)におけるFCソウルの現在までの成績表だ。リーグ優勝通算6回を誇る国内屈指の名門クラブの戦いぶりとはにわかに信じがたい。
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リーグ戦9位に終わった昨シーズンも不振に苦しんだ。それでも、今季開幕前には主力の多くが「優勝トロフィーを一つだけでも掲げたい」と叫んだ。
しかし今、彼らは“リーグ最下位”という非情な現実を突きつけられている。
FCソウルは暗いトンネルから長らく抜け出せずにいる。8月25日、ホームのソウルワールドカップ競技場で行われた第25節の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)戦は1-2で敗北。これにより、リーグ戦では4試合連続未勝利(1分3敗)となった。
前半戦に12試合未勝利のドロ沼にハマり下位に沈んだFCソウルは、今夏の移籍市場で大型補強を敢行。
新戦力が求められたワントップにブラジル人FWガブリエル・バルボーザ・アベリーノ(22)と欧州組の元韓国代表FWチ・ドンウォン(30)を獲得し、中盤もベテランMFヨ・ルム(32)とオーストラリア人MFコナー・チャップマン(26)を迎え入れ、巻き返しを図った。
しかし、8月に行われたリーグ戦5試合で得た勝利はわずか1勝。その間に順位も最下位に転落した。FCソウルよりも1試合消化数が少ない江原(カンウォン)FC(勝ち点27)にも勝ち点で劣る。
FCソウルはガブリエルとチ・ドンウォンの獲得によって、前半戦の弱点と指摘された前線に力を加えた。2人とも今夏の加入からまだ日が経っていないにもかかわらず、早くも自身の能力を見せつけている。
チ・ドンウォンは去る8日の第23節光州(クァンジュ)FC戦で決勝ゴールを挙げ、チームに久しぶりの勝ち点3をもたらした。ガブリエルは入団以降、出場した7試合で先発2回にとどまっているが、限られた出場時間で2ゴール1アシストを記録している。
ワントップの活躍によってほかの攻撃陣も息を吹き返した。元FC東京のMFナ・サンホ(25)は8月だけで2ゴールと得点感覚を取り戻し、元U-23韓国代表のFWチョ・ヨンウク(22)も蔚山現代戦で今季初ゴールに成功した。
では、一体何が問題なのか。多くの専門家は、守備陣の集中力の欠如はもちろんのこと、チームの結束力不足を要因に挙げた。
FCソウルの最近の戦いを見ると、序盤に相手の攻勢に苦しめられた後、遅れて反撃に出る形を繰り返している。
直近の蔚山現代戦でも前半に2失点を喫し、後半終盤にチョ・ヨンウクのゴールで1点差に迫った。ただ、逃げ切りを図り堅固な守備を敷くチームを相手に、体力が落ちた終盤に得点することは簡単なことではない。
FCソウルは8月の5試合で計8失点を許した。このうち、前半の失点だけで6ゴールで、キックオフ後30分以内の失点が4ゴールだ。試合序盤に集中力を切らし、相手の攻撃をコントロールできずにいるという意味である。
チームを率いるパク・ジンソプ監督は前半戦の間、ワントップ同様センターバックの不安定さに疑問を示し、頭を悩ませてきた。最近では、守備的MFが本職のスペイン人MFオスマル(33)をセンターバックに起用して安定感を求めたが、全体的な守備のバランスは未だに不安定だ。
新戦力の合流に合わせて戦術と全体的な動きに変化を与えただけに、守備面で過渡期が避けられないという見方もある。しかしそれ以前に、FCソウルは守備で闘争心や犠牲の精神が足りないという声もある。
心理的な問題も言及されている。あらゆる変化を加えたにもかかわらず勝利できず、失点だけが増えている状況に、選手たちが自信を失った姿が目立つ。
蔚山現代戦でも、主力選手同士がお互いを励ましたり、ベンチからピッチに活力を吹き込んだりするような場面は見られなかった。
こうした状況を受け、パク監督も試合後に「これ以上テンションが下がってはいけないので、雰囲気を変えるよう努力したい」と述べている。
もっとも、FCソウルには経験豊富な国内トップクラスの選手が多い。キャプテンを務める元韓国代表MFキ・ソンヨン(32)をはじめ、元同代表FWパク・チュヨン(36)や元同代表MFコ・ヨハン(33)などがそのメンバーだ。
今は戦術や戦略など関係なく、彼らのような選手が率先してチームの雰囲気づくりに尽力し、闘争心を注入する役割が切実に求められている。
そうしてこそ、選手たちは自分たちの最大値を発揮することができ、指揮官の望むハーモニーを完成することができる。
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