兵役免除から住宅特別供給まで…韓国でメダリストに与えられる“恩恵”めぐり議論勃発【東京五輪】

2021年08月03日 スポーツ一般 #東京五輪

体操男子個人の種目別跳馬で“サプライズ”の金メダルを獲得したシン・ジェファン(23)から、アーチェリーで3つの金メダルを首にかけたアン・サン(20)まで。東京五輪における相次ぐ快挙達成に、韓国では日に日に大会に対する国民の関心が高まっている。

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一方、報奨金や年金のほか、兵役免除の特例や住宅特別供給請約資格などがメダリストに与えられる事実を受けて、ネット上で議論が巻き起こっている。

韓国ではオリンピックや技能五輪国際大会、世界選手権などで3位以上の成績を収めた選手は、国土交通部令の“住宅供給に関する規則”に基づき、国民住宅特別供給対象者となる。

国民住宅は建設量の10%の範囲内で1世帯1住宅基準で特別供給され、市・道知事の承認がある場合は10%を超過することもある。

85平方メートル以下の民営住宅も、10%の範囲内で1世帯1住宅基準で特別供給を受けることができ、市・道知事が承認すれば首都圏で15%、そのほかの地域で20%に拡大される。

「すべての恩恵を与えることは公平性に反する」

これに対し、ネット上では「住宅難が深刻化した状況で、個人的な成就に対する補償として特別供給の恩恵を与えることが適切なのか」という論理が出ている。

ただ、メダリストに対する報奨というものは、オリンピックなどの国際大会で入賞して社会的関心が高まることでスポーツ産業が活性化するなどの経済的効果が生じ、生活体育の概念が定着して国民の健康への貢献につながるために生まれた制度だ。

特に、プロチームのない種目の場合はこうした報奨や恩恵は切実だ。

このため、走り高跳びや水泳など、韓国で“非主流種目”とされる競技に関しては、メダルを獲得できなくても、上位入賞やアジア・韓国新記録を樹立した選手に対する支援をむしろ拡大すべきという主張が登場している。

例えば、現在行われている東京五輪では、男子競泳のファン・ソンウ(18)が200メートル自由形の予選で韓国新記録を塗り替え、同種目で韓国勢として9年ぶり決勝進出に成功。100メートル自由形でも予選でアジア記録を塗り替え、同種目で決勝5位をマークし、アジア勢最高成績を69年ぶりに更新した。

また、男子走り高跳びではウ・サンヒョク(25)が韓国勢25年ぶりに決勝進出。韓国新記録を打ち立てるとともに、韓国陸上におけるオリンピック史上最高順位となる全体4位の成績を残した。

(写真=聯合ニュース)ウ・サンヒョク

メダリストに一定規模以上の恩恵を提供することは適切だが、特定の種目の選手はプロチーム所属で年俸なども高いだけに、国威宣揚に対する報奨金以外で政府が提供する恩恵について、改めて設定しなければならないという主張だ。

とあるネットユーザーは、「兵役免除や年金に加え、住宅特別供給の恩恵まですべて与えることは、むしろ公平性に反する」と指摘。「各協会で支給する報奨金に対して言及する必要はないが、政府レベルのメダリストへの恩恵は、公論化して決めなければならない」と提言した。

なお、東京五輪に参加している国で最も高い報奨金を設定しているのはシンガポールだ。同国は金メダリストに100万シンガポールドル(日本円=約8096万2500円)を支給し、銀メダリストでも半額の50万シンガポールドル(約4049万500円)を支給する。

韓国の報奨金規模は、個人戦で金メダル6300万ウォン(約630万円)、銀メダル3500万ウォン(約350万円)、銅メダル2500万ウォン(約250万円)。団体戦の場合、個人戦の金額の75%を支給する。このほか、連盟や団体別に追加で報奨金が支給される。

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