悩みに悩んだ時間があまりにも長くなった結果、残ったのは“惨敗”の2文字だった。
キム・ハクボム監督が率いるU-24韓国代表は、東京五輪を準々決勝敗退で終えた。2012年ロンドン五輪の銅メダルを超える最高成績を目指したが、最後はU-24メキシコ代表に3-6の完敗を喫した。
東京でのチャレンジを失敗した韓国サッカーは、オリンピックを2大会連続ベスト8で去ることになった。
元々、韓国の東京五輪世代は順調な道のりを歩んでいた。2020年1月にタイで行われたU-23アジア選手権で優勝したことで、東京五輪への期待感も十分に高まっていた。
キム監督は柔軟な戦術と選手起用で、内容はもちろん結果まで出して見せた。
しかし、肝心の東京五輪は新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期となった。自然と、キム監督の悩む時間も増えることになった。
この間に、オリンピックは今大会に限って年齢制限を従来の「23歳以下限定」から「24歳以下限定」に変更した。
キム監督としては、U-23アジア選手権含め、これまでともに活動してきた既存の選手たちを無視することはできなかった。リスト発表時も「教え子たちを落とすのが辛かった」と伝えたほどだ。
結局、長く東京五輪世代のメンバーに選ばれていたMFメン・ソンウン(23、FC安養)やMFイ・スンモ(23、浦項スティーラース)、FWチョ・ギュソン(23、金泉尚武)、FWオ・セフン(22、蔚山現代)らは、荷物をまとめてチームを去ることになった。
キム監督は欧州組や国内組を問わず、メンバーの選出を原点から再スタートした。大会が延期された1年間は最適の組み合わせを模索し続けた。
この間、同世代に新たなスター候補が相次いで登場した。なかでも、FWソン・ミンギュ(21、全北現代モータース)やDFソル・ヨンウ(22、蔚山現代)、MFイ・ガンイン(20、バレンシア)らがチャンスをつかみ、最終的には東京五輪にも出場した。
しかし、Kリーグで優れた活躍を見せたソン・ミンギュも、代表では本来の姿を発揮できなかった。U-24韓国代表に遅れて合流したイ・ガンインも、活用法やチームに完璧に溶け込んでいたとは言い難かった。
加えて、新型コロナの影響で登録枠が18人から22人へと拡大されなければ、DFカン・ユンソン(24、済州ユナイテッド)やMFキム・ジンギュ(24、釜山アイパーク)の活躍も見られなかった。
韓国の選手たちは、世界の舞台で個人の能力を活かして優位を発つには無理が伴った。そのため、組織力の強化がいつになく求められていたが、本大会までに十分な時間は与えられなかった。
グループステージ第2節から稼働したDFカン・ユンソン、DFパク・ジス(27、金泉尚武)、DFチョン・テウク(24、大邱FC)、DFソル・ヨンウの守備ラインも、オリンピックが始まって初めて実戦で連携を確かめた組み合わせだった。
悩みに悩みを重ねて選択したオーバーエイジも、成功を収めるまでの活躍は見せられなかった。結局、U-24韓国代表は“長考”が悪手となってしまった。
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